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乙女ゲームの感想日記。

明治活劇 ハイカラ流星組 ―成敗しませう、世直し稼業― 個別感想②(銀之介/徳治郎)





松原銀之助

孤高の天星
けいと同じ長屋に住んでいる英語講師。31歳。頭が良く、綺麗好きで、よく部屋で小説を読んでいる。厳格な性格だが、けいとは近い立場にいるため家庭状況も把握しており、よく助言をしてくれる。ハイカラ流星組では策士的な立ち位置。


ハイカラ流星組のブレイン的な役割を担う銀先生は頭のキレが早く、常に何手も先を読み行動する人です。感情論よりも理論を優先するタイプなので、一見厳しそうな印象を持ちますが、年長者としてアドバイスや相談に乗ってくれたり、時には慰めてくれる優しさがある方です。実家は裕福な家庭で、自身も英語教師を務めており、非常に優秀な方ですが何故かけいちゃんと同じ質素な長屋住まいをしており、なにかとけいちゃん親子を気遣う、というより見守る様子がみられます。
そう、銀先生も賢さん同様けいちゃんにはとっても大きい感情を持ってるタイプでしたね。まぁ賢さん、銀先生に限らず、今作の攻略対象は皆色んな形でけいちゃんに最初からクソでかい感情持ってるキャラばかりなんですが。皆開始時点でけいちゃんとは既に数年単位で関係性を構築してるところからのスタートなので、初めから想いを溜め込んでる始まりなんですよね、今作。なので、ハイカラ流星組ってまさにけいちゃんを中心にして集まるして集まったメンバーだなとしみじみ感じます。それぞれの深い愛情だの執着だのを段々見えてくる瞬間が凄く個人的に好きな部分ですね。
とまぁハイカラ全体の感想はまとめ感想でもっと語るとして、銀先生√の話をすると、この√個人的に全体を通して「家族」というものがなんとなくテーマにあったのかなぁと感じる部分があります。大きな理由としてはけいちゃんの家庭問題を大きく描いているところにもあるんですが、銀先生をはじめ、トミさんや常良さんなどのバックグラウンドが語られていたり、結婚や家を継ぐといった明治時代ならではのそれぞれの「家」に対する価値観が描かれていたなあと感じる部分がありました。また後日談で発覚した設定とかからも、銀先生がけいちゃんにむける静かで見守るような深い深い愛情というのが、どことなく色恋以上に親愛っぽさがあるなと感じたんですよね。ステラの後日談小冊子の方でも、「家族」に触れていますし、なんといったらいいんでしょう。「家」に対する価値観とそこに伴う「情」が凄くメインになってる√だなと感じました。
これはまたハイカラ全体の話になりますが、銀先生含め、攻略対象たちは何かしら家庭環境に「情」がない環境で育っています。一方で貧乏ながらも母親と二人で支え合い生きてきたけいちゃんって凄く凄く情深い子なんですよ。常に母親を思い遣りながら育ってるんです。そりゃ情深い性格にもなりますよね。人を疑ったり、嘘をついたりする事と無縁な、人情溢れる純粋な子なんですよ。「情」が欠落した環境で育ってる人達がそんなけいちゃんに惹かれるのって凄く納得できるんですよね。
今回の銀先生でいえば、けいちゃんの存在は”生きる理由”そのものになっているんですよ。それは居場所がなかった孤独から救ってくれた恩人、その人を失った悲しみを乗り越えるためにすり替えた執着だと思いますし、作中や銀先生自身も言っていた通り、けいちゃんに対するその執着は「色恋」みたいなものとは違うものだと思います。けど二人で互いを思いやって支え合うけいちゃん親子をずっと見守っていくうちに、だんだん同じようにこの親子を大切にしたいという「情」が生まれたのかなと思います。ここら辺はこの√で大きく関わってくるサブキャラの心情変化と似てるんじゃないでしょうか。どことなく生い立ちが似てますしね。銀先生がけいちゃんに対して「好き」じゃなく「愛してる」と伝えるあたりから、個人的にも銀先生のけいちゃんへの想いは「色恋」ではなく「愛情」なんだろうなと。
でもまぁけいちゃんは16歳の女の子ですし、銀先生に芽生えた想いは「色恋」なんですよ。それ故に個別中盤はすれ違い大変大変。焦って「恋」と「愛」を混同してしまったが故に、後からになってあれは違ったってなった銀先生の気持ちは分からなくもないんです。感情より理論を取るタイプなので、世間体だったり現実的にみて行動を起こさないのも性格上理解できます。しかし手を出したのに責任を取らないのは大人げないというか面倒くさい!!なんてすれ違い際中は思わずにはいられなかったですね。そしてそんな銀先生に振り回されつついじらしく恋心を持て余すけいちゃんの様子が切なくってよかったですね。友情に熱い友人がいてよかったな。サブキャラが本当にいい仕事をしていた√だったと思います。
そして終盤の話ですが、個人的には普段だと苦手な流れで若干胃をざわつかせながらプレイしていたんですが、おかげさまで徳さんルートが死ぬほど楽しみになりました。これは大変な匂いがするぞ、、、面倒くさい大人の匂いがするぞ、、、とわくわくがとまりません。徳さんすっごい楽しみです。とまぁ徳さん語りで最後〆てしまいましたが、銀先生√は「恋」じゃなく「愛」のシナリオだったのに、最終的に振り返ると少女漫画らしい雰囲気もあるシナリオでした!お姫様抱っことか薬指へキスとか、修羅場とか。なんとなく少女漫画のメインヒーロー感ある事結構してたなと。高木ゲーにしてはキラキラしていたという印象なので、新鮮でしたね!面白かったです!!!


中井徳治郎

寡黙な昴星
けい、銀之助と同じ長屋に住んでいる真面目で寡黙な人力車俥夫。28歳。仕事柄、帝都を知り尽くしているほか、何かと情報も仕入れている。料理も得意。俥持ちの俥夫ということでそれなりに稼いでいるらしい…が、その分毎日忙しくけいと接する機会もあまり無い。黄身丸という犬を飼っている。


高木ゲーでは毎回真相√を担う隠し攻略対象がいますが、今作は隠し攻略対象がいない代わりに攻略制限キャラが設けられています。その攻略制限キャラというのが徳治郎さんです。久史坊ちゃん、銀先生ルートを攻略すると解放される√になります。そして久史√、銀先生√で色々一癖も二癖もある真意の読めない一面を晒し、波乱を起こした存在でもあるんですよね。この人は絶対なにかある!と√プレイ前からわくわくさせてくれたキャラでした。その期待にハズレなく、非常に私の性癖を貫いてくれた素晴らしいキャラでしたね。飛びぬけて最推しです。


事前に注意しておくと今回はネタバレをあまり回避せず感想を書きます。ネタバレなく語れる気がしないので、あしからず。


徳さんは共通の時点では寡黙で真面目。日曜まであまり休むこともなく仕事をしているような仕事人間で、あまり長屋にいる事もなく、プライベートがある意味謎といった感じの人なんです。しかしなにかとけいちゃんの事を面倒みてくれる。ここら辺は銀先生や賢さんと似ていますね。銀先生や賢さん同様、なにかしらの理由でけいちゃんにクソデカ感情を持っているのだろうという事は読み取れるのですが、それがなにから来るものなのかは漠然としていてわからないといった感じです。そもそも銀先生、久史√でまぁ色んな謎を残している人なんですよ。そこを経てからの個別なので銀先生や賢さんと似たクソデカ感情持ちだとしても、その感情の真意自体は一切読めないんですよね。でも基本優しいしかっこいいし、色恋と無縁で育ってきているため、男女関係に対しても初心で。手が触れるだけで動揺する徳さんとか可愛くって。共通の間は周回すると追加されるシナリオを読みつつ、不穏さと純情さを同時に楽しんでいましたね。
それは個別に入ってからも同じで序盤~中盤まではひたすら徳さんの不穏さとかっこよさにきゅんきゅんしていました。だって徳さんめっちゃかっこいいんですよ。けいちゃんを守りたいと思ってる故に、危ないことに巻き込まれがちで危機感がないけいちゃんに本気で心配して叱ってくれるんです。でも人の機微とか思い遣り、「情」に疎くって、どこか端的というか。冷めてるというか。言葉端がきついんですよね。ただけいちゃんに危ない事して欲しくない気を付けてって言いたいだけなのに、「お前のやり方だと危ないし、聞き込みにお前は向いてない」「だからお前は聞きこみはしなくていい」「もしそれで周りを巻き込んだらどうするんだ」なんて。けいちゃんからすれば「役立たずだからなにもするな」って言われてるような言い方をしちゃうんですよ。勿論徳さんがいってる事は事実です。実際にけいちゃんは悪意や危険と今まで無縁で育ってきているので人を疑うとか危機感をもつとかそこら辺の意識が薄いんですよね。でもけいちゃんなりに自分のそういう悪いところを自覚しているので迷惑を掛けないよう皆の役に立とうと自分の出来る事は精一杯頑張ってるわけで。久史坊ちゃんの場合は素直じゃなかったりデリカシーがなく、あえてそういう悪口を意図的に言ったりしますが、徳さんの場合はそこは無自覚です。「お前には向いてないからやめろ」と事実のまま言っちゃうし、それがけいちゃんを心配して危険な事をしてほしくなくっての発言なんですけど、言い方に思いやりに掛けてしまっているんですよね。
これは言動だけでなく、日常生活の端々で少しずつ伺えて、たとえば飼っているペットの黄身丸。徳さんは黄身丸の飼い主ですが黄身丸が雌か雄かすらも知りません。黄身丸が何を食べているのかも、なにを食べるのかも把握していないんです。極めつけは黄身丸が具合が悪そうだなと思いながらも、特になにもしないんですよ。寝かせておけば大丈夫か、なんて思っています。でも悪意はないんです。徳さんはそこら辺の善悪が一切「わからない」のです。そしてそれは他人に対してだけでなく、自分自身に対してもなんです。自分が倒れるまで自身の体調不良に気付かない人なんです。数日間食事が喉を通っていなかったことすら、自分のことなのに気付かない。様々なことにおいて無頓着。というより、もっと根本的な話をすると「欲」そのものがないんですよ。何かをしたい、欲しい、もっといえばそもそも「生きたい」という意思すら薄いところがあります。自分自身にも「情」がない人が他人にも「情」があるはずもなく、日常の中で時折そういう冷めた部分が見え隠れする。個別に入りだすとそこが顕著になります。でもそれと同時にけいちゃんと過ごしていくことでその欠落した「情」というのが段々芽生えていくことになるんですよ。黄身丸に対してもけいちゃんに対しても、だんだん過ごしていくうちに徳さんの中で気付くことが増えていく。徳さんは本当に色々内緒にしていることや隠していることが多いです。立場上けいちゃんに信じてほしくっても言えないことばかりです。それでも徳さんは「けいちゃんは守りたい」その想いだけは本物なんですよね。そして「けいちゃんに自分を理解して欲しい」という「欲」が生まれていきます。その欲が生まれた子とで徳さんの”いままで”が崩れていくことになるんですが、ここからが実は大変なルートだったんですよね。
そもそも徳さんが人の機微や「情」がわからない、「欲」がない人間になったのには育った環境に原因があります。幼少より受けた教育、もとい折檻と調教による強い洗脳教育により「個」というものを限りなくなくされているんですよ。誰かの命令だけを従う使い捨ての「駒」として。しかも身寄りのない身分。抗う事も本人の選択肢すらなく、そういう教育をされてます。意思を奪われた教育を受けて28年生きてきてる。それがたった一つ、けいちゃんに「理解されたい」という欲だけが生まれた。逆にいえば「それだけ」なんです。けいちゃんに理解されたい、けいちゃんを愛おしいという欲はうまれていますが、そのためにどうすればいいのか彼は分かりません。どうすればいいか考える意思すらそもそも奪われている。けいちゃんを愛しいと思っているのに、どうすればいいのかわからない徳さんの葛藤が本当に辛くってですね。何度も「信じてくれ」「信じてくれないのか?」ってけいちゃんに縋る徳さんを見る度泣きました。ほんと心臓わしづかみでした。本当に不器用に生きる方法しかしらない徳さんがいじらしく、辛く、とにかく幸せになって欲しい気持ちでいっぱいでしたね。
そしてそんな徳さんに何度振り回されて不安になろうと、最後には徳さんを信じたい理解したい、徳さんを解放してあげたいと思うけいちゃんにはよく頑張ってくれたという感想が強いです。徳さんを幸せにしたいし、徳さんに幸せにしてもらいたい手放しに周りから祝福される関係でなくっても、そういえるけいちゃんが素敵だなと思いました。そう、本編歓喜EDだけみると穏やかでハッピーな気持ちで終えた徳けいですが、ステラの後日談小冊子読んでも分かりますが、徳けいはこれからが始まりですし、世間的に幸せをつかむのは難しいんですよね。それでもお互いが離れたくないと思ってるからこそ、めい一杯幸せになって欲しいです。わからないことが多い徳さんに悪知恵教えて、うのみにして実行しちゃうのでは??ってはらはらしてる様子とか凄い可愛いし、素直に聞き入れてる徳さんもほんと可愛くって徳けいちゃんは純情カプって感じでいいですね。
驚かされたのは紲EDです。これ系はハイカラではないっていうか、紲EDって実質流星組EDだと思っていたんですよ。ゆえに普通に驚きましたし、死ぬほど性癖で気が狂いました。スチル含めて1000000満点性癖です。ありがとう。ハイカラで味わうと思ってなかっただけに最高でした。ということで√シナリオもキャラ属性も、紲ED面も全てにおいて性癖をブッさしてきた徳さんは罪深いですね。問答無用で最推しですし幸せになって欲しいです。沢山笑って過ごしてね。

明治活劇 ハイカラ流星組 ―成敗しませう、世直し稼業― 個別感想①(久史/楓花/賢)





南郷久史

不器用な比肩星
けいの勤め先の三男坊で、16歳。ヴァイオリンを先行している音楽学芸学校の壱年生。けいとは四年ほど前からの付き合いだが、特に親しい間柄ではない。横柄な態度をとってしまうも、ハイカラ流星組を通じて互いを知っていく中で、気付けば大事な存在となっていく。


久史はけいちゃんが勤める米屋「たわら商店」の三男坊になります。けいちゃんは本編開始時点で「たわら商店」に勤めるようになって4年が経っている状態なので、久史とも4年の付き合いになります。しかし家族関係があまりよくない久史は、あまり家にいる事もなく、けいちゃんとも特に会話をする事はありませんでした。時々会話をするときもありますが、久史からすればけいは立場が下の人間というのもあり、上から目線な態度を取られる事がしょっちゅうです。なので、けいちゃんから見た久史の印象は「よく分からない人」なんですよね。そもそも自分よりよっぽど恵まれた環境で育ってる久史が、何にそんな不満を持っているのか。序盤の頃は苦労しているけいちゃんからしたら久史坊ちゃんはとても贅沢に見えるんですよね。久史は音楽学校に通っていますが、音楽学校に通わせてくれているのも親のお金です。でもその親には突っぱねるような態度をとります。どうしてそんな態度をとるのか分かりませんし、どうしてそこまでして熱心に音楽を続けているのかも知りません。知っているのは、家族と不仲ということと、たまにバイオリンの練習で聞こえてくる音色が綺麗だなということだけです。まぁ4年の付き合いになりますが、会話を特にしてこなかったので、相手の事がよく分からなくっても当然なんですよね。
色々あってハイカラ流星組を一緒に組む事になり、良く話すようになり出してからお互いを知っていく事になります。けど育ってきた環境も考えも違う二人なので、衝突したり喧嘩することも多いです。久史自身自分が正しいと思ったことは誰に対してもストレートに言い、横暴な態度をすぐとるため、言いあいになりやすいんですよね。これは一例ですが、共通序盤、けいちゃんは久史坊ちゃんが贅沢にみえる事をそのまま伝えるシーンがあります。しかし「自分の物差しで物事をみるな」と久史に指摘され、けいちゃんは反省します。このように作中、けいちゃんは何度も久史から考えや姿勢を指摘され反省したり、自分自身を見直したりしていましたね。久史も口は悪いけど段々けいちゃんに寄り添っていくようになっていくというか。と、いうより最初っから久史の態度は好きな子の気を惹く為のいじわるって感じが滲み出ているというか!けいちゃんの考えや姿勢を指摘するし、邪魔だのいらないだのなんだかんだというんですけど決して「嫌い」とは言いませんし、わかりにくけど気にかけてるのが丸わかりなんですよ。しかし素直に「好き」って言葉はいわないので、けいちゃんの鈍感さも含めて全く伝わっていないところがニヤニヤしますし、応援してあげたくなる気持ちになりますw共通から個別にかけて終始久けいの二人は見ていて可愛いんですよ。ニヤニヤできるというか。この二人の関係いいなぁ~~って穏やかな気持ちでみれます。
個別からは新たに「ハイカラ流星組」として請け負った依頼をきっかけにどんどん話が転がっていくんですが、この個別、振り返るとけいちゃんかなり怖い目にあってるよなぁと。後半の方、けいちゃん結構可哀想な状況に陥るというか、段々メンタルが弱っていってるのがわかるんですよね。自分を責めたり、情緒不安定になったり、疲れを感じていたり。それでも決めたことを貫こうと頑張ろうとする姿が素敵で。普通のただ母親と平凡な日々を過ごしていた16歳の少女が、何度も怖い目にあったり不安に苛まれていたりしたらそりゃメンタル弱っていくよなぁと。後半の方の久史が「自分を責めすぎるな」とか「お前は頑張りすぎなんだよ」とかけいちゃんを労わってあげるセリフが多かったのとても良かったです。
思えばそれだけメンタル弱って辛いはずなのに久史を想って「馬鹿は私だけでいい」って言えるけいちゃんは本当に素敵だなと思います。いい子ですよね。大好きです。個人的に結構この個別の話の落としどころが好きだったりします。共通の時点で「ハイカラ流星組」で行う世直しは勿論困っている人を助けたいって想いもあるけど、それ以前に「自分が知りたいから」「自分のため」っていってるんですよね。自分の為に行うって綺麗事を言わないところが好きだなぁと凄く感じたシーンなんですが、この個別ラストの成敗はまさに「自分のため」の成敗というか。色んな事に苛まれてもううんざりして平穏に過ごしたい!!ってけいちゃんのしたいことをちゃんと叶える成敗の仕方で、とんちみたいなものを感じて面白かったです。勿論色々謎は解決されないまま終わっている√なんですが、これも一つのけいちゃんと久史が選んだ結末っぽくって好きですね。他のルートだとどういう終わりをするのか、凄く楽しみです。
久けいに関してはひたすらきゅんきゅんするシーンが沢山あって、相変わらず高木さんが的確に私のツボを押さえてくれるところに感服しました。けいちゃん、母親に対してもそうですが、大切な身内はなにより大事って姿勢ですし、久史も好きな子には尽くすというか、俺が面倒みてやりたい、傍に置いときたい、頼られたいって考えるタイプなんで、久けいの二人はどんどん互いに想いあってくれそうでいいですよね。それこそ紲EDとか少しだけ信じれるのは互いだけという二人の世界っぽさありますよね。なんとなくBADではないんですが、ほの暗さを感じるというか。
歓喜EDやステラの小冊子みてても思いますが、久史はツンデレ枠ではありますが、自分の考えや想いはストレートな印象なので、「けいが好き」という想いの純度は100%そのままの気持ちなんだろうなと思うとときめいてしかたありませんね。たまらん。久史、けいちゃん大好きかよ、、大好きすぎるね、、。相変わらず最高に楽しかったです。高木ゲー本当に相性が良くってしんどい。他のルートが楽しみで仕方ありません。久けいちゃん大好き!


守田楓花

可憐な綺麗星
15歳で帝都の人気歌舞伎役者に上りつめている実力者。厳しい稽古を毎日行っており、けいに泣きつく姿がよく見られる。そんなけいとは休みの日に出かけるほど、とても親しい間柄。よく茶屋で愚痴を披露したり、結婚について話し合っている。男の人が苦手。


帝都で人気な歌舞伎役者。歌舞伎役者というのは本来、男性しか舞台に立つことが出来ない職種ですが、楓花ちゃんは女の身で歌舞伎役者として登壇しています。その可憐な容姿、美しく儚い佇まいは殿方から非常に支持されており、物語に出てくるサブやモブは皆楓花ちゃんの虜です。実際共通の間はヒロインであるけいちゃんよりもずっとずっと乙女なんですよ。厳しい稽古を毎日行っていますが、そのあまりの厳しさに逃げだし、儚い涙を零しながらけいちゃんに泣きついたり。ちょっとした言葉でも傷つきやすく、繊細な心を持っていたりと。とにかく可憐で儚い美少女という印象が強い子です。しかし役者という職業柄、相手が何を求めているのか察する力には長けているので、意図的に思わせぶりなセリフをいい、相手を誘惑し騙したりすることもあります。それを楽しんでいる様子もみられるので、単純に世間を知らないお嬢様というわけではありません。小悪魔的で強かな側面も持ち合わせています。
そんな儚く誰もが護ってあげたくなる理想の女性(ちょっぴり小悪魔)な楓花ちゃんとの関係性についてですが、楓花ちゃんも久史坊ちゃん同様ゲーム開始時点ですでにけいちゃんとは4年の付き合いがある関係性です。久史坊ちゃんと違うのは二人が4年以上親しい関係を続けており”親友同士”というところですね。この”親友”というのが√全体のポイントになっていたと思います。
この√凄く乙女ゲーにしては珍しいシナリオだったと思うんですよね。男女の関係というよりは、女友達の延長線にもみえるし、恋や愛の話以前に執着や依存が先にあり、そこを下敷きに恋心がある印象です。けどそこを含めてこの二人らしい、この二人だからこそ行きつく関係かなと思えて個人的にはとても楽しかったですね。
では何がこの√が特殊で変わっているかというと。そもそも一番この√をややこしくしている原因は楓花の性別問題にあります。先ほど楓花は”女の身で舞台に登壇している”といいましたが、楓花自身はれっきとした男です。しかしその事実は周りの人間おろか、本人すら知らないんですよ。共通終盤までは楓花の性別というのははっきり明かされません。実際公式も発売前から楓花の性別についてははっきり明言していませんでしたし、共通中盤までは楓花の性別について触れるシーンが一切ないので、プレイヤー自身もどっち??って困惑すると思います。それくらい当たり前のように周りの人間も楓花自身も女性としか思えない言動をしているんですよ。それどころか、周囲の人間に楓花は実は男なんじゃないかと疑われただけで楓花は酷く傷つき、引きこもってしまうほどでした。そもそも楓花は男性嫌いですからね。男性が嫌いなのに、自身が男性なんて信じたくないという部分もあるんでしょう。
この√、共通の時点で楓花の性別が男だけど、心が女であることがわかるので、一体どんな恋愛になっていくのかと思いましたが、最終的には「性別は関係なくあなたが好き」という答えなのが凄くよかったですね。そもそも楓花は共通の時点で唯一の友達で大切な親友であるけいちゃんに普通以上の執着と依存を持っていることが描かれています。なにかとけいちゃんが自分にとって親友なのか試したり、親友の証が欲しかったり、自分は家の都合で結婚するけど、けいちゃんは自分から離れちゃいやだから結婚してはダメと勝手な言い分を主張したりと。「親友」にしてはやけに執着が強いんですよね。楓花ちゃん自身凄く厳しい家で育ってきています。勝手に本人許諾なく芸事の為にと「女」として育てられ、外には出してもらえず、都合が悪いことは怒鳴りつけられて有耶無耶にされて。本人が知りたいこと、やりたいことは一切与えてもらえないまま、育ての親のなすままに育ってきています。家から強い束縛をうけて育っているんですよ。そんな中で嫌になって家を飛び出したすえに出会えたたった一人だけの存在がけいちゃんです。家によって生き方を全て束縛されている楓花にとってけいちゃんだけが唯一楓花が自由に関われる”楓花自身のもの”なんですよね。けいちゃんとの出会いをきっかけに家の束縛も少し軟化したこともあり、楓花にとってはけいちゃんは楓花の生き方や価値観を変えたきっかけの存在なんですよ。なので、思い入れもひと際強く、依存と執着を持っています。
個別に入り、楓花自身の性別問題が関わってくることで、ここに男女としての恋情も混ざっていきます。元々ある執着心に恋心も混ざる事でどんどん執着が強くなっていくんですよね。楓花は共通の時点で「変わりたい」「自分を変えたいから流星組にはいりたい」と今までの自分を変えたい気持ちが強いです。けいちゃんへの依存が強くなりだすと、その変わりたいって感情は「けいちゃんのために」「けいちゃんに好かれたいから」に変わっていきます。この個別って全部楓花の成長劇ですし、実際どんどん楓花は変わっていきますが、個人的に楓花自身は根本的なところはなにも変わってないんだろうなと感じましたね。けいちゃんへの依存心も、依存することで”自己肯定”に繋がってますし、「けいちゃんのため」といいつつ、その想いには「けいちゃんから愛されたい」「けいちゃんから好かれたい」という見返りを求めた自己愛によるものです。無意識にやきもちを焼いて、感情のままひどい事をけいちゃんに言ってしまっては後悔したり、けいちゃんが自分から離れていくと思った瞬間、癇癪を起して「けいちゃんの為に変わろうと頑張ってるのになにも理解してくれない!!!」と詰ったり、けいちゃんを気を惹きたいがために「友達やめる」と逃げの選択をとったり、とんでもない行動をしてみたりと。この√凄く楓花は感情のまま暴れ回ってくれますが、けいちゃんはそれでもついてきてくれるんですよ。久史√でもそうでしたがけいちゃんも一度心の内に入れた相手にはとことん尽くすタイプというか。無意識に自己犠牲的で献身的なところがあるので、序盤に楓花ちゃんから言われた「何があっても楓花ちゃんの味方でいる」という約束を守ってくれます。わりとめちゃくちゃ振り回されて怪我したり仕事辞めたり色々されてるのに決して見放しませんし、癇癪起こして感情で起こる楓花ちゃんに対しても同じように怒鳴るわけじゃなく、嗜めるように、楓花ちゃんのためを想って対応しているようすとかもよく見られました。そのうえで喧嘩別れしてしまったあとでも、(どうしてこうなるのよ。楓花ちゃんのばか。……私のばか)とうまく楓花ちゃんと分かり合えなかった自分自身を責めて反省する様子なども見れてこの√ほんとけいちゃんに5000000000000点あげたいくらいにはけいちゃん凄くいい子でしたね。
そうやってどれだけ振り回してもついてきてくれるけいちゃんの存在に安心して、よりけいちゃんへの想いを強くする楓花の姿はなんともずるいなぁと感じるんですが、楓花自身も今まで知らなかった事実をしったり、男か女か、性別をどちらで生きるか多くな選択を迫られたり、生活が色々変わっていく環境のなかで気持ちが混乱しやすく、その中で唯一手放したくないけいちゃんの存在をつなぎとめるのに精一杯だったんだろうなと思うとまぁ仕方ないかなぁとも思います。あと育ての親から束縛される環境で育っているので、そんな生い立ちの子が示せる愛情表現が同じ束縛なのも仕方ないのかなと。「変わりたい」と何度もいいながら、根本的に買われずに何度も同じ失敗をして後悔してを繰り返しながら何度も変わろうとする姿は凄く人間らしくっていいなとおもいました。
結局のところ楓花は自分が男か女か関係なく「けいちゃん」に執着してますし、けいちゃんにとっても楓花が男か女か関係なく「大切な人」なんですよ。”性別関係なく相手がいい”から思い遣りに欠けようが必死になりますし、何されようが許せてしまうんでしょうね。この二人が4年間築いてきた”親友”という絆があるから成り立つ関係性だなと感じます。この二人はこの二人だからこその絆があるのでどれだけ揉めようが、ずっと離れずいそうな気がしますね。
なにってこの二人、実は個別終盤でわかる事実がかなり泥沼な関係なんですよ。楓花ちゃん自身その事実で一回はけいちゃんを拒絶して酷い言葉で詰っています。けど実際は立場は逆で。作品上ここらへんの部分は描写されてないですし、省略されていますが、この泥沼な真実をもっと深く考えると結構拗れそうだなと感じます。けど結局楓花は後悔と罪悪感を強くしますがそれを依存と執着で昇華していきそうですし、楓花は許せず詰りましたが、けいちゃんはかなりのお人よしなので、逆の立場だと許してしまいそうなんですよね。そう思えば、泥沼な関係が下敷きにあろうが、この二人が築いた絆のほうが強いのかなと思います。
個人的にけいちゃんは性別関係なく楓花ちゃんが好きという「愛」に近い感情を持っていますが、楓花は依存と執着が先で、そのあとに「恋」をしているので、エピローグや後日談小冊子で男の欲が全快になっているところが面白かったですね。けいちゃんはもう深い愛情な感じで楓花ちゃんならなんでもいっかみたいな状況なのに、楓花はけいちゃんに接吻したいし抱きしめたいし押し倒したいし服を脱がせたい一緒にお風呂入りたいと恋する男全開で欲望丸出しな感じの温度差が好きです。この二人はこの二人で凄く大好きな二人になりましたね。


咲村賢

洒落た宿星
銀座近くで洋服店の店主をしている敏腕な22歳。楽天的な性格。謎多いキャラだが、けいとの出会いに救われた過去があり、それ以降何かと手助けをしてくれる、頼れるお兄さん。時には長屋に顔を出して差し入れをくれたり、洋服を仕立ててくれる気前の良さがある。


気さくで明るく、気前のいい賢さん。彼は若くして銀座で店を構える敏腕テーラーです。けいちゃん親子をなにかと気にかけ、差し入れと称して高級食材を持ってきたり、洋装などを無償で仕立ててくれたりします。けいちゃんに対してまさに至れり尽くせりといった感じです。賢さんがけいちゃん達に対して献身的なのには理由があります。ゲーム開始時から1年前。賢さんはけいちゃんと出会ったことで救われているんです。テーラーとして確かな実力のある彼ですが、帝都にきてすぐの頃はその敏腕さを振るわれる事はなく、いく当てもないまま路頭に迷い、飲み潰れていました。そんな時、たまたまけいちゃんと出会い、どこの誰かも分からない賢さんを心配して面倒をみてくれたんです。しかも一か月だけですが、身寄りがないという賢さんを引きとって一緒に住んでいたんですよ!この頃から母親の病気で家計的にも辛かっただろうに、芳川親子がいかにお人よしなのか分かりますよね。そんなわけで、その時の恩を返したいと、テーラーとして実力が認められ自立したあともなにかと世話を焼いてくれる賢さんです。
そんな賢さん√ですが、高木ゲーの中では非常にわかりやすくスタンダードなキャラだったように思いますね。といっても他の乙女ゲームでいう曲者キャラなんですが。所謂「真意が読めない胡散臭い嘘つきキャラ」です!賢さんは楓花ちゃん同様厳しい家庭環境で育ってきています。しかし厳しい家に有無も言えず反抗や知ろうとすることすら諦めて人形同然にいいように扱われていた楓花ちゃんとは反対で、賢さんは早い段階で全てを捨てて家から逃げだしたタイプです。それこそ本当に全てを捨ててるんですよね。愛情や人情というものを全て諦めて、物分かりいいふりして全て捨ててきたタイプです。愛情に飢えているのに愛情を与えられないまま育ってきたため、非常に警戒心が強く疑心的。本心を見せるのが怖く嘘を重ねて何重にも予防線を張っているんですよね。そのため、他のルートでも個別でも賢さんは嘘をつくことも多く、また近づいては離れてを繰り返すことになります。
嘘をついて、けいちゃん自身にもあまり人を信用するな、俺も信用するななんて沢山予防線をはるのに、惹かれているけいちゃんには本当の自分を知って欲しいって欲もあって内面を見せる。けど全てを踏み込まれる勇気はなくてまた距離を取る。このまさに愛情に飢えているのに愛情を無償で貰うのが怖い、不器用な子供というのが賢さんという人間像だなと感じます。賢さん自身正しい愛情を貰えずに育ってきているので、けいちゃんに対して確かに”好き”という好意があるのに、それが本当に愛情によるものなのか本人もわからないんですよ。好きだと自覚して心が近づいたと思えば、勘違いだったのかもしれないと突き放して離れていく。でも愛に飢えているので、惹かれたけいちゃんが本当に離れていくのは嫌なんですよね。自分で突き放しておきながら未練がましく何度も手を伸ばしてします。本人自身が揺れ動きまくってる感情をそのままぶつけられてるけいちゃんからしたら「賢さんが何を考えているのかわからない」ってなりますよね。
他のルートでも言いましたがけいちゃんは内に入れた相手には愛情深いんです。賢さんに好意を向けられて意識して、彼になにかしてあげたいって思うのに、賢さん自身が愛を受け取るのが怖いから離れていく。いたちごっこみたいなすれ違いを何度も繰り返してようやく手に入れる信頼関係というのが凄く凄くときめきましたね。そもそも愛に飢えている賢さんからしたら、無償で愛情深く寄り添ってあげようとする素直なけいちゃんの存在って凄く救いですよね。賢さん自身の生い立ちのせいで、疑り深く警戒心が強いために、何度も近づいては離れを繰り返しますが、賢さん自身は最初っからけいちゃんのこと凄く凄く大好きだったように思います。けいちゃんになにかあれば、すぐにすべて放ってけいちゃんのもとに駆け付けてくれますからね。彼、ほんと最初っからけいちゃんのことめちゃくちゃ大好きですよね。
なにがいいって、賢さんの愛情表現っていうのがめちゃくちゃ子供のじゃれ合いみたいないちゃつき方なんですよ。くすぐりだったり、起き上がるのを邪魔したり。幼い頃にそうした子供らしいじゃれ合いを家族と出来なかった子が、自分よりもずっと歳下の少女に対して愛情表現として示してるのがも~~~めちゃくちゃよくってですね!もうめちゃくちゃわかりやすい愛情に飢えた不器用な子供~~~って感じでとにかくたまりませんでした。本人も自覚ありますしね。不器用な愛情乞食キャラはめちゃくちゃ昔から大好きなので、賢さんは見ていて凄く愛おしくなる子でした!賢けい大好きです!面白かった!!!

明治活劇 ハイカラ流星組 ―成敗しませう、世直し稼業― 総合感想


オトメイト制作、高木D×清白かりんさんによる明治世直し恋愛AVG。



ハイカラ流星組 ―成敗しませう、世直し稼業―


大好きすぎる高木Dとめちゃくちゃ好きな清白かりんさんによるタッグ!最高でした!明治という時代背景を真剣に感じるシナリオで、やはり高木さんにはついていけるなと安心信頼の作品でした。




夜に紛れて帝都にはびこる闇を晴らす


帝都・新橋にある長屋で母と二人暮らしをしている主人公、けい。
父を事故で亡くし、病弱な母を支えるため働いて生計を立てていた。


拾六になったけいは、毎日通う神社で聞き慣れない言葉を耳にする。


「こんな時、流星組に頼めればな……」


いつもの日が続く。生活は貧しく母の薬代もままならない毎日――
時折すれ違う人力車、そこに乗る洋装の婦人たちの姿に思いを馳せた。


(洋装のご婦人と殿方が踊る夜会、か……いいなぁ……)


そんな或る日、仕事を終えて帰宅すると一着の洋服が届いていた。
差出人は不明。「これを着て今度の采緑館の夜会に参加されたし」とたったひと言だけ書かれた手紙が添えられていた。


迷った末にけいは送られた洋服を身に纏い、夜会に参加することに。踊った経験もなく、慣れない衣服と圧倒される建物に戸惑っていると――


「……お前の父の死の真相が知りたくないか?」


背後から謎の男にそう声を掛けられるが、振り返ると誰もいなかった。長屋に戻った主人公は父の死について母に問い詰めると驚くべき事実を知る。


父の死の真相、そして父の無念を晴らす為、
主人公は思いを共にする仲間達と立ち上がることに――!


公式サイトより)


プレイ時間


共通:13時間
個別:8~10時間


貧乏ながらも病弱な母と懸命に日々を過ごすけいちゃんが、差出人不明の招待状をきっかけに自身の父親の真実をしり、ハイカラ流星組を結成、少し活動するまでを描いたのが共通になります。すぐにハイカラ流星組を結成!というわけでなく、過ごしてきた日々の様子や、突然変化していく事がらに戸惑いや不安を抱く描写が多いので、共通は全体的にゆったり進む印象です。結成したあともすぐに活動!活躍!というわけではなく、手探りに初めてみる感じが強いので、早く物語が進んで欲しい人にはもどかしいかもしれません。しかし明治の時代背景、日常から非日常に戸惑う様子、けいちゃんという主人公の人柄を感じ取るのに必要な間だとも個人的には感じるので、共通はゆったりスタートでも気になりませんでした。


個別からは父親の死の真相に近づきつつ、それぞれのキャラが抱える過去に触れていきます。これが意外とシリアスで驚きましたね。会話劇であることと、ヒロインであるけいちゃんが庶民であるゆえに舞台が日常と離れないので、シリアスの重みも軽減していますが、描きようによっては凄くドロドロしていたと思います。けどあとで語りますが作品的にも何気ない庶民的な温かみ「人情」をテーマにしていたと感じる部分があるので、あまり日常とかけ離れ過ぎる重みにしなかったのは逆によかったのかなと感じますね。あえて”庶民感”を残して描いていると感じました。



選択肢/ED

選択肢

選択肢は基本3択(愛キャッチ有)
時折時間制限有りの選択肢があります。その際はQSは使用できません。


選択肢で印象的なのは共通の賢さんに対して「好きってなんですか?」的な選択肢があったことですね。高木ゲーでそんなド天然ヒロインみたいなかまととぶっていいんですか!?って意気揚々と選んだら冗談くらい分かって欲しいと叱られて笑いました。そりゃそうだ。高木ゲーのこういうとこめちゃくちゃ好きです。今作は皆ヒロインにクソデカ感情持ってるところから始まりますが、決して猫かわいがりするわけじゃないところ、安心しますね。大好きです。


ED

EDは歓喜ED、紲EDの全2種。


歓喜EDは攻略対象とも結ばれて、誰かから脅かされる事もなく母親と攻略対象と穏やかな日常を過ごせるEDです。今まで知らなかった事実を知り、日常が変化して危険と隣り合わせになり、あれよあれよと非日常に陥っていきますが、最終的に日常に戻れる話の流れがとても良かったです。日常って地続きのものですからね。物語としては悪を倒して完結!みたいな起承転結が必要でしょうけど、この作品はあくまで庶民に寄り添う組織の話だと思うので。大きな変化を残すオチではなく、日常に戻る終わり方はテーマに合ったシナリオだと感じます。


紲EDは逆に想いは通じ合いますが、非日常、危険と隣り合わせのまま生きる選択を選ぶEDですね。母親や長屋などのヒロインにとっての”日常”的存在とも離れる終わり方が多いです。父親の面影を追う終わり方とも感じましたね。個別や共通で父に近づきたいとけいちゃんが何度か言っていましたが、その結果が紲EDに近いと思います。通称ハイカラ流星組ED。まぁ全部がそうというわけじゃないんですけどね。徳さんの紲EDが性癖すぎてゲロ吐きました。最高です。


歓喜ED攻略後、後日談解放です。
エピローグでも語られてない部分も後日談で判明する事多いので、ED回収後に回収するのおすすめです。


システム/サウンド/グラフィック

システム

安心快適素晴らしいイチカラムさん。高木ゲーは相変わらず快適システムでいいですね。文句一切ないです。周回すれば共通シナリオが追加されるのも健在。これが楽しいんですよ。共通追加シナリオで分かる一面も多いので、ちゃんと隅々まで遊ぶの必須だと思います。
前作の天涯からMAP移動がなくなって寂しいんですが、聞き込みターンは段々事件の全貌が見えてくる感じとても楽しかったですね。情報もってるキャラがいない場所でもモブが結構細かい事喋ってるので全部聞いて回ってました。持ち物も一つ一つにちょっとしたコメントがあるの細かくていいですね。おまけボイスやラフ画も充実してますし、辞書がとにかくいろんな豆知識詰まってて好きです。読むの楽しいんですよね。


サウンド

いつもの高木ゲーらしいBGMで聞いてて安心する。聞くとあああ高木ゲーだ~~ってなっていいですね。限定版だとサントラつくので本当に重宝してます。サントラだけで買ったかいがあります。


グラフィック

明治時代の帝都、時代背景を感じれる背景グラとてもいいですよね。室内や夜だと少し立ち絵も暗くなったり、日が差せば明るくなるなど、立ち絵に明暗を付けて臨場感を出してる細かい演出が何気に大好きです。正月の飾りつけなど、季節物に合わせた背景があるのも個人的には好きでした。また清白かりんさんのイラストはどれも美しくって綺麗ですよね。他作品になりますが「Cendrillon palikA.」のイラストを担当されている時に、清白さんの色彩感覚、細かい小物の描写や構図に惚れ惚れして素敵な絵師だと感じましたが、今作もどれも綺麗なスチルばかりでときめきました。原色系の強めの色合いが多いのが、高木さんの描く個性的なキャラと合ってて好きです。



シナリオ

この作品は庶民的な温かみ、「情」がテーマになってるんだろうなって感じています。御維新後の明治。つまり殺しや戦などの争い事が収まり「武士の時代」が終わった後の時代です。そんな危険とは無縁の時代で育った”庶民代表”みたいなヒロインが、非日常に巻き込まれていく物語なんですよね。特別な能力も教育もされてない庶民のヒロインが、悪意に戸惑い不安に脅かされながら、それでも家族や周りの人間を思い遣る気持ちだけは忘れず、懸命に過ごす。物語の人物というより、自身と身近にに感じる等身大の人間像を描いたヒロインだなと思いましたね。そしてそんなヒロインに惹かれていく攻略対象達はいずれも皆一般的な温かい「情」とは無縁だった環境で育ってるんですよ。家庭や生い立ちに溝やら難やらがある人達ばかりです。そんな人達が母親と支え合いながら生きてきた非常に「情深い」けいちゃんに「情」を求めて惹かれていく。
この作品、攻略対象はそもそもゲーム開始時点で皆すでにヒロインであるけいちゃんになにかしらの大きな感情を持っているんですよ。でもそれは一言「恋心」って表すには複雑というか。「恋」とはまた違う思い入れを皆それぞれけいちゃんに持っていて、しかしその思い入れは「恋」ともまた似ていたりもしていて。物語が進んでいく中で皆この想いが「恋」なのか「そうじゃない」のか混同しながら、迷いながらもそれぞれの気持ちに整理をつけていきます。こうした恋愛過程って結構変わっていると感じましたね。普段の乙女ゲームであれば、恋をして、そこから愛情が生まれる印象ですが、この作品の場合は先に「愛情」がうまれて、恋になる印象でした。でもこの”恋愛”を過程として踏まない関係性ってなんだか”明治時代”らしいなと感じた部分でもあります。明治という時代。恋愛結婚なんてあまりなく、「家」のためにまず結婚という”手段”を取る時代です。”恋人関係”になり、付き合い、結ばれるという現代のような概念があまりない時代ですからね。「恋」の前に「情」が先に産まれるのもおかしくないのかなと。これはプレイしてて感じたことですが、どの攻略対象も「好き」ではなく最初に「愛してる」「愛しい」という言葉が出てきやすいんですよね。色恋を経て愛になるのではなく、「情」を求めて「愛」になるシナリオだったなぁと感じました。「恋」ではなく「愛」の物語だなと。
また「情」の話でいえば仕事面でもそうでしたね。今の時代の労働意識でいえばけいちゃんの労働態度って”仕事をサボっている”って印象に映りがちですが、モブも同じように休憩したいから外回りさせてほしいって言っていたことに対してけいちゃんが「ごめんなさい」と返していた様子から、なんとなく今の労働意識とこの時代では違うのを感じました。人と人の距離が近い分「お互いさま」な部分で成り立ってるというか。思えば労働時間というのは明治時代の工場などから始まった考え方ですよね。この作品がどれくらいの明治時代かはしっかり描写されてませんが、"労働時間”というものが生まれたばかりの時代であれば、現代の意識と差異があってもおかしくないのかもしれないなと。この時代の”常識”というのがわからないので、そうした意識を無視して個人的な意見をいえば、タクシーも電車もない街中、人力車を使うような距離を徒歩でぐるぐる歩き回ってると思うとそりゃ休憩もちょいちょい取りますし、12歳の時からおうちの事で一生懸命でろくに自由に遊べてない少女相手ならそりゃ雇相手も甘くなるというか。「仕方ない」と情けを掛けちゃうのも分からなくないなって思うんです。「情け」これも「情」ですね。勿論今の時代だといけないことだと感じますが、これも”明治時代”ならではなのかもしれないと感じた部分でした。まぁそんな事をいうと、そもそも作中でけいちゃんの労働姿勢を批判しているのは「女だから」難癖つけてる若旦那と丁稚だけで、その若旦那もパワハラしてますしね。しかしその事に対して直接若旦那を咎める人もあまりいないですし。あと仕事を抜ける印象が目につきやすいですが、たわら商店での貢献度はけいちゃんが抜けたのちの描写などでよくわかるので、良い面の描写が単純に少ないからわかりにくいんだろうなとも感じました。
とまぁ話がだんだんずれてしまいましたが。この作品、時間の流れも恋愛面も仕事面もなんとなく現代とだいぶ違うというか、前作の大正や昭和初期とも違う。”明治時代”だからこその描写なんだろうなと感じる部分がとても多かったです。制作ブログや各雑誌を読んでいても、時代背景の雰囲気を出すことにこだわっていらっしゃるのは凄く分かりますし、どこかの雑誌で久史役の榎木くんも「人との支え合い」について触れてましたしね。
”明治時代”、”庶民的なあたたかみ”、”人情”。こうしたものがベースにある作品なんだなと、このハイカラという作品を振り返るとつくづく感じます。それを踏まえると作中の伝えたい事ってのもよく分かりますし、個人的には人間味溢れる登場人物ばかりで何度も読んで人間像を探るのがとても楽しい作品でした。どのキャラもめちゃくちゃ愛着凄いです。
しいて文句をいうなら、わちゃわちゃシーンがいつもより短めで寂しかったですね。でも仲良いんだかそうでないんだか、けいちゃんを基準にそれぞれの目的で集まった人達なんで、なんとなく仲良くなり過ぎない距離感もリアルなのかなと。
とまぁ好みは別れるのも理解できますが、個人的にしっかり楽しめた作品でしたし、終わってしまって寂しいです。まだまだ読めると思うので、時間を置いたらまたプレイしたいなと感じますね。大好きです。



キャラについて


芳川けい

祈る煌星
自身の家庭が苦しいにも関わらず困っていれば見ず知らずの人間や対して親しくもない相手の身の回りの世話をしてやったり、信じて慮ってやったりと、思い遣り溢れる情深い子でしたね。時にうまくいかず周りに不安な気持ちのまま当たってしまうこともありますが、すぐに反省しますし、そもそも周りに当たる理由が自分が不甲斐ないことへの義憤からですからね。正直けいちゃんは自分をちゃんと律して考えれる偉い子だなと思います。育ってきた環境ゆえに危機感が薄いというか、危なっかしいのは事実ですが、正直人につけられてるとか実際わかりませんしね。一生懸命生きてて応援したくなる子ですし、その深い深い「情」を求めて平凡な庶民の少女に惹かれていく男達の図がとても好き。



南郷久史

不器用な比肩星
改めて振り返ると久史は幼い頃に再婚し、他人が家族になる。後妻をむかえるという事実が不誠実、はっきりしない。そんな印象を得て、はっきりした生き方をしたいし、曖昧な父親を越えたいし、自分は決めた相手には一途でいようと思っているのかなと。そう思うと坊ちゃんのけいちゃんに対する想いの「恋」ではないような気もしますが、攻略対象の中だと一番「情」のある家庭でうまれてるからか、一番「恋」に近い恋愛過程だった気がしますね。結婚を言い出す流れが最高に好きでした。久けいちゃんは永遠に妄想できる。かわいい。



松原銀之助

孤高の天星
作品のテーマかなり詰まってた√な気がしますね。サブキャラ大活躍√。「恋」と「愛」の話。色んな情報を一気に捌いていたので、銀先生の過去自体はあまり掘り下げなかった印象なので、もう少し知りたいところがあります。個人的に分からなくはないけど、今作面倒くさい大人枠でした。縁談のくだりは本当にひやひやしたというか、けいちゃんがいじらし可哀想でよかったですね。手を出しときながらやっぱ違ったは大人げないぞ!と思いつつも銀先生の気持ちはわからなくないから難しいところ。



守田楓花

可憐な綺麗星
乙女ゲームではなかなか味わえない面白いルートだったのでは??「恋」とはと考えましたね。「依存」と「執着」が先にあってそこに「性別」が生まれた事による「恋」。作中一番暴れ回ってくれたキャラだと思うんですよ。も~~!!この子は~~!!って気持ちになるんですけど、けいちゃんがいいならそれでいっか~~!みたいな。この√のけいちゃんほんと良く頑張ってた。駄目な子ほどかわいいというかなんだかんだ愛着が凄いキャラなんで大好きですね。”声”の変化が凄すぎて感動しましたね。



咲村賢

洒落た宿星
わかりにくふりしてますがとても分かりやすい子。警戒心の強い愛情に飢えた子。ルート中の自分で突き放してるくせにけいちゃんに離れてほしくなくって引き留めちゃうとこほーーーーんとズルいし愛おしいんですよね。シナリオも王道身分差すれ違いでよかったですね!!最後までドキドキはらはらなシナリオでしたし。いちゃつき方が幼子の悪戯みたいなじゃれ合いなのほんと。他の作品なら一癖あるキャラ枠なんだけど、高木ゲーだと逆に王道感あるの面白いなと思いました。



中井徳治郎

寡黙な昴星
ダークホース。いやほんとダークホースでした。基本的箱推しなんですが、徳さんは飛びぬけましたね。間違いなく最推し。皆辛い生い立ちですが一番雁字搦めでどうにもならない状況だったのがな。√中何度泣かされたことか。こういう生きるのに不器用な子は沢山幸せになって欲しいです。紲EDが何気にダメージおってるんですよ。予想してなかった不意打ちだったので。でも最高に好きなんだよな~~!!!完全に素のむき出しのままの感情に触れる瞬間がどうしようもない気持ちになります。「信じてくれないのか」とか「なにをしていいのかわからない」とか「消えてしまいたい」とか。ほんと、、、、しんどい、、、、、、幸せにしてあげたいし、なって欲しい、、、けいちゃんと一生幸せになって、徳けいちゃん尊い、、、大好き、、、、



最後に

相変わらず愛着が凄く、大好きな作品になりました。高木ゲーはやっぱり一生ついていきますね。個人的にまだまだみたいというか徳けいちゃんの続きが凄く凄くみたいのでFDをまた永遠に待つゾンビになります。出来る限り応援するぞ、、。ほんと楽しかったです!ありがとうハイカラちゃん!



推しランク

中 井 徳 治 郎 


久史=賢>楓花>銀


まぁ全員愛着凄いのでほぼ箱推しなんですが徳さんだけとびぬけてます。ぐううう、、、好き。サブも皆愛着凄いので大好きですね!