(ぬ)乙女ゲーム感想保管庫。

乙女ゲームの感想日記。

Re:BIRTHDAY SONG個別感想②(アメ/ナミ)





アメ


物静かな少年。どんな物事に対しても冷静で、自分が思った事や感じた事は素直に言葉にする。そのため意図せず相手を怒らせてしまう事も……。特別補習組の中では一番年下で、他のメンバー達から弟扱いされている。しかし実際は誰よりも長く冥府で暮らしていて、死後の世界の知識が豊富。


アメは物静かで感情の起伏が乏しいというか、あまり表情にでない子なので、どんなことでも淡々と対応する冷静で落ち着いた子です。人と感性が少しずれているとこがあり、ややマイペース。思った事を素直に言葉にする子なので、ズバッと厳しい物言いをする時もあり、序盤は少し冷たい印象を持つ子でした。共通序盤のアメはあまり人と関わる気がなく、友達になりたいと交流を持とうとするココロにも距離を取りがちというか。関わる気がないとはっきり言っちゃうような感じで、ココロにも冷たくあたります。しかし誰ともうまくいかず悲しい寂しいと落ち込むココロに対して心配はしてくれるんですよね。
共通から実はアメにはなにか秘密があるのが分かるというか、アメって凄く勘がいいというか、人の気持ちに敏感なんです。死神は魂そのものの為、他人と触れ合った場所からなんとなく「楽しい」や「悲しい」といった漠然的に感情が伝わってしまう性質があります。その為死神自体がお互いの気持ちを察しやすい体質なんですが、アメはそれが人より強いというか。なんとなく他の死神よりも察しがよすぎる描写が共通から描かれています。それゆえ、人とあまり交流を持ちたくないとココロを突き放すものの、寂しい悲しいというココロの気持ちには察して心配してくれるんです。
またアメはココロの歌声に聞惚れてしまいます。ココロは何をやってもうまくいかない不器用な子ですが、歌を歌う事だけは大好きで、唯一の特技だと自負しています。そんなココロの歌声を聴いてアメはココロに気を許すようになっていくんです。「あなたの声はうるさいくらい」「でも歌声は安心する」と。アメ自身、人と関わり会いたくないだけで根っ子は素直ないい子です。ズバッとあけすけない物言いをするので、厳しい印象ですが基本的には穏やかで優しい子です。なので、一度ココロに協力すると決めれば仲良くなるのも自然な流れでしたね。この二人は穏やかに信頼関係を築いていきます。
それは個別に入っても同じで、他のルートだと個別に入りパートナーを組むとまず追いかけっこだったり避けられたりしていましたが、アメとは最初っからお互いがパートナーとしてまず仲良くなろう!って思いあいます。そのため、とりあえず夏休みは一緒に遊ぼうと約束してお互いの部屋に行くことになるんですが、お互い友達がいない同士どうすればいいのかって悩みます。ココロも友達がいなけりゃ、アメも人とあまり関わり合いたくないゆえ友達がいません。アメはそれどころか、「遊ぶ」ということもあまり知らないようです。
そんなアメを見かねたココロは、アメに色んな「遊び」を教えます。動物と追いかけっこしたり、かくれんぼしたり。アメは外で遊ぶこと自体知らないんです。そんな彼がココロに沢山の「遊び方」を教えてもらい、今まで体験したことない事を経験していくうちに、それをココロと一緒に体験できているという喜びを覚えていくようになります。ココロも表情があまりでないアメが時折見せる柔らかい笑顔にもっと見たい、アメの笑顔をみるとドキドキすると心惹かれていくようになります。そうして段々より仲良くなっていきますね。
なんというか、アメルートは本当に穏やかに優しい話だった気がします。アメは生前の生い立ちや、隠している事情から人と距離を取りがちなんです。でも心の底ではそれが寂しいと感じているというか。根は人を素直に思い遣る子なので、友達になった子にはとことん素直な好意を示すというか。優しいというか。そんなアメを想い、アメにもたくさんの友達が出来てほしい、私はアメから離れないとアメの心を救ってやるココロちゃんは本当にいい子だなぁと感じますし、アメが惹かれる理由も凄くわかるんですよね。なのでこの二人の恋愛はすれ違いも多少ありはしますが、他ルートと比べると穏やかですし優しいです。
最後の方に描かれる死神としての課題もこのルートは重すぎないというか、アメと事情は似てても、アメとは直接かかわりのある人物ではないですしね。生前の未練云々の問題はそこまで絡んでこず、辛い悲しいといった負のイメージ以外の「死」についての見方を提示したシナリオというか。「死」が怖いものではないという、優しい「死」を描いたお話でした。それは生い立ち故に傷を持っているアメだからこそ、導いてあげてる成仏って感じがしましたね。アメの生前も悲しいものです。暗いものですが、そんな生い立ちのアメだからこそ、導いてあげれる「死」の答えですし、その答えを出してあげれる事自体がアメ自身の成長を感じました。優しいシナリオです。
そんな感じでルート自体は優しいものなのですが、その代りこのルートは真相、ナミルートへの伏線を沢山はったシナリオになってましたね。不穏な要素は全部ナミ√への伏線に回された感じがして、アメのルートなのに謎がたくさん残ってしまって、すっきりしないのがアメに集中できなくって少し勿体ないなと感じます。本当にナミルートの伏線が主に多かった印象です。アメ自身いい子で好きなだけに少し勿体なかったなと。しかしそれを抜きにしてアメ自身は優しいお話で、幸せになってねという気持ちで読みました。
個人的に面白かったのは転生EDと死神EDのあり方というか。今までのルートだと、転生EDは離別があるけど限りある命の中もう一度結ばれる、死神EDは永遠の命の中あなたと共に支え合い生きるという印象があるEDでした。しかしアメの場合これが逆になってる印象だったのが面白かったなと。転生のほうがこの二人は末永くずっと一緒にいて、死神のほうが限りある時間でめい一杯相手をうシナリオになってたのが、また違う「死」の意味を描いていて面白かったです。死神アフターもそうですが、アメルートは人間らしい「心の繋がり」がテーマだった気もします。あったかいシナリオでした!


ナミ


特別補習組の面倒を見ている教師。死神としての地位は高いが、つねにやる気がなく、生徒達の前ではダラダラとしている。また、死神としてまともに働いているところを誰も見たことがない。現世で作られている煙草を気に入っていて、隙を見つけては現世からこっそりくすねてくる。


ナミ先生は特別補習組の担当教師ですが、基本的にやる気がなく、だらけているかタバコ吸っているかな不良教師です。しかし適当な物言いをしながらも、なんだかんだと生徒の相談に乗ったり、まともなアドバイスをしたりと、面倒をみてくれます。死神としても非常に高い位につくほどの実力者であり、隙がない人物です。その為、真意を計り知れないところがあります。そんなミステリアスで面倒くさがりながらも世話を焼いてくれるナミ先生。彼の√は攻略対象全員を攻略後に解放されるルート、すなわち真相√になりますね。ココロの秘密や、冥府の秘密、ナミ先生の思惑、全てが明らかになるルートでした。
ナミ先生ルートはまず、個別に入ると彼の使い魔であり、飼い猫のユユとパートナーを組む事になります。ユユは無邪気で明るい今作のマスコット的な立ち位置でありますが、ナミ先生の使い魔として死神としての経験が豊富で、パートナーとしてもとっても頼りになる存在です。そんなユユとパートナーになれて頼もしいと喜ぶココロでしたが、その喜びもすぐ撤回することになります。ユユはいざパートナーになると、張り切りすぎてやや小姑っぽくなるんです。朝から晩までココロの生活を厳しく叱るユユに段々疲れていくココロ。他のルートだと攻略対象達を追いかけることが多いココロですが、ユユ相手だと逆に逃げる側になっていたのが面白かったですね。
厳しいお説教を繰り返すユユに疲れて逃げ出したココロは、ナミ先生に匿ってほしいと助けを求めます。そこで彼の執務室に訪れることになるんですが、彼の執務室はとにかく物が散乱しており片付けがされている様子がない。そのうえまともに食事をとっている様子もなく、タバコばかり吸っているという。だらしないとは思っていたがどうやら日常生活も疎かにしている事をしります。どんなにやる気がなく不良教師な態度を取ろうと、こうしてユユから匿ってくれて、相談にも乗ってくれる。なんだかんだでいつも世話を焼いてくれるナミ先生に感謝を抱くと同時に、その反面彼の生活態度を心配になったココロ。彼がせめて食事をちゃんととれるようになるよう毎日お弁当を作ること思いつき、それをきっかけに交流を持っていくようになります。
しかしココロは女子力底辺の女の子。料理を作ると炭を錬成しちゃう子です。なのでナミ先生も最初はココロのお弁当を食べもせず、修行して出直して来いと追い返しちゃいます。悔しかったココロはなんとしてもナミ先生にお弁当を食べてもらえるよう猛特訓をすることになるのでした。ここからのココロは通い妻よろしく、ひたすらナミ先生の執務室に足繁く通いなにかと世話を焼こうとする日々です。このルートのココロちゃんってなんというか、先生に恋して距離感を勘違いしちゃった女子高生って感じで、なんというか積極的で押せ押せって感じなんですよね。本人は至って無自覚ではあるんですが、ナミ先生が好きなのは誰がみても分かるというか。面倒といいつつなんだかんだで優しく世話を焼いてくれるナミ先生に惹かれたのは一目瞭然で、お弁当を毎回作ってくれるお礼にどこか連れてってやるというナミ先生にデートですか!?と浮かれたり、ナミ先生ともっと一緒にいたいとねだってみたり、なんというか序盤のココロは恋する乙女でした。そんなココロに呆れつつも、ココロの願いをかなえてあげるナミ先生は確かにかっこよくって、どんどん惹かれるのも分からなくはないんですよね。
そうしてココロの無自覚な片想い描写が続いていくんですが、時々ナミ先生も凄く愛おしそうな優しい目を向けてくるようになるんですよね。でもそれは何処か違和感があって。段々この違和感が大きくなってナミ先生の思惑を知っていく事になります。中盤からはずっと不穏な展開というか。そもそもナミ先生って他ルートで凄く意味深な感じで出てくるんですよ。BADでは何かと不穏な言葉を残していく人です。そんななにやらクソデカ重感情を持っているのが見え隠れしている人なんで、穏やかな恋愛になるはずがないんですよね。
結果からいってしまうと執着ヤンデレ+二番目の女ルートというしんどい展開がどんどこ繰り広げられます。二番目の女、身代わりでしかないココロの切なさも分かるし、かといってナミ先生のクソデカ感情も放っておけないしで、もうどっちに感情移入したらいいのかよくわかんないままひたすらしんどい気持ちでプレイしましたね。やあ、、ハニビの壊れた男に弱いんです。ナミ先生は壊れてます。しかしその壊れた様子が痛々しすぎて、愛おしいんですよね。ココロの辛さも凄く分かりますし、かといって痛々しいくらい壊れてしまってるナミ先生を置いていけないのも凄く分かるしで、後半はひたすら唸りながらプレイしてたんですが、そこを乗り越えてからのココロとナミ先生の関係はとても素晴らしく、この二人のこと凄く大好きになりましたね。
二番目だったココロが一番になる瞬間ももうときめきましたし、その後そこにいきつくまでに散々ココロを傷つけたことを後悔するナミ先生があまりに好きで、そんなナミ先生をなによりも暖かく優しい心で包み込んであげるココロは、本当に天使~~!!!ってなりました。色々壁を乗り越えた二人なので、死神アフターで見るこの二人はとってもとっても素敵で幸せになってね~~!!って気持ちになりましたね。中盤の逃でて怯えるばかりだったココロも、壊れてしまって過去に囚われたナミ先生も、お互いが凄く成長し変わったシナリオだったなと。
またこのルートは他の攻略対象の過去も出てくるシナリオだったので、それぞれの個別でみてきたココロとの関係性を思い出し、複雑になるというか。皆ココロが必要で、皆ココロに救われた子達なんですよ。なんでココロが足りない、5人全員にココロを渡してあげたい気持ちになりました。この作品の結論はココロが足りない、です。
そんな感じでナミ先生ルートはほんと中盤しんどいし、ココロにもナミ先生にももやもやしたり、感情移入して悲しくなったりと複雑な思いをしたシナリオでしたが、そこを乗り越えた先の二人の関係が本当にツボでたまんないお話でした!楽しかったです、幸せになって!!!