(ぬ)乙女ゲーム感想保管庫。

乙女ゲームの感想日記。

キューピット・パラサイト個別感想②(ラウル/アラン)


この感想は元々身内の友人へ向けて、おすすめプレゼンもかねて書いていた感想をそのまま転載しています。その為、ある程度のネタバレを回避して書いています。ネタバレの都合上、隠しキャラの個別感想は書いていません。




ラウル・アコニット

趣味パラサイト×浮世アウェイ神話大全、異色アクションムービースター
迫力のあるアクション演技と甘いルックスにより、数々のヒット作に起用される、女性に大人気のムービースター。初の恋愛映画への出演が決まった事で、リアルな『恋愛の演技』が出来るか心配した所属事務所によって、恋心勉強のために《キューピット・コーポレーション》に登録される。神に助けられた経験から、神話研究・考察が趣味となり、口を開けば神々の話ばかり。そのため誰とも話が噛み合わず、厄介会員【PARASITE5】の仲間入りに。



ラウルは三度の飯より神様が好き、口を開けばネプチューン!ゼウス!ヴィーナス!と神の名や神話、神話考察の話ばかり。シリウッドスターゆえ女性の扱いはスマートで手馴れているのに、喋りだすと誰もついていけない話をするため、CC.会員からは嫌煙され、厄介会員「PARASITE5」の仲間入りに。そう、彼はまさしく神様大好き、趣味に全振り趣味パラサイトなんです。神話といえどその話の幅も広く、ギリシャ神話からローマ神話、日本神話、場合によれば考察材料としてオカルト系の話題まで引っ張り出してきて、トンでも考察を繰り返します。参考文献や資料の知識が豊富なため、話題性に富んでいるといえばそうですが、一般の人間ではまずついていけないです。実際ラウル√はプレイ中何度も神話考察や神話を聞くことになるんですが、プレイヤ―の私もよく分からない話も多かったなと思います。しかしその沢山ある神話の中にちょいちょい伏線が張られているのはよかったなと。ラウルルートって本当にジェットコースターのように話が一転二転するというか。カオスというか。「大人の恋愛」であり「インディー・ジョーンズ」であり「神話異色ファンタジー」であり、みたいな。前中後でみると全く違うシナリオっぽさがある、とにかく波の激しいシナリオでした。それゆえ先の展開が全く読めなくって面白かったんですが。今までのシェルビー、螢彩院、ギルルートだと中盤に差し掛かると少女漫画的王道なすれ違いを挟みながら、「自分はキューピットであり人間ではないから」と自身の恋に気付かないリネットが自分の想いを自覚するまでを描く流れがありましたが、ラウルは他ルートと少しちがいましたね。「自分がキューピットだから」とかそんな事を悩む以前に色々あったなと。でも個人的に今までのルートの中で一番恋愛過程が好きです。今までのルートも勿論恋愛過程が非常に面白くって、丁寧で好きなんですけどね!ラウル√は予想してなかった展開で、驚きました。
そう彼の√、意外な事にすっごい「大人の恋愛」なんですよ!大人の恋愛というか、こう、爛れてるというか。趣味パラサイトである彼は一にも二にも趣味が大切です。そして”恋”というものに全く興味がありません。むしろ趣味に割く時間が減るなら面倒くさいという考えです。彼は初恋もまだなんですよね。しかし彼はシリウッド俳優です。しかも彼が次に撮影するのはラブコメ映画。恋も知らない俳優が”恋の演技”ができるわけがなく、彼は仕事で壁にぶつかるんですよね。見かねたマネージャーが恋心の勉強の為に、婚活会社に登録したことで、PARASITE5になり、リネットと出会う事になります。共通の間は趣味パラサイト全快なラウルに振り回される感じでしたね。リネット自身がキューピットという神様なので、ラウルの神話考察にもついていけるため、大層気に入られて懐かれたというか。ラウル的には婚活で恋の勉強とかどうでもよくって、リネットの事もブライダルアドバイザーというより趣味の話が出来る相手くらいにしかみていません。そんなわけで恋の勉強もロクにしないので、全然恋の演技が良くならないラウルに焦りを感じたマネージャーさん。個別からはリネットはラウルの恋の演技の指導者としてラウル専属になって関わり合っていく事になります。そこでラウルと一対一で向き合って初めてわかるラウルの恋愛観というのが非常に歪んでいまして。というか非常に爛れていまして。誘われれば誰とでも寝るのが当たり前、セフレとワンナイトラブが基本。来るもの拒まず去る者追わず。セックスに特別な意味はなく、ただ気持ちよければいい。そこに恋や愛は必要ない。「遊びの恋」それがラウルの恋愛価値観でした。そんな関係ばかり続けてるもんだから”恋の楽しさ”を知る事も出来ず、恋愛もできないのだと怒るリネットちゃん。恋を司る神、キューピットからしたらラウルの恋愛観なんて論外ですよね。しかしラウルの生きてる世界ではそれが当たり前という感じなので、リネットが何故そこまで怒るのは全く分からないようすのラウル。前半はこの「肉欲と愛」についての関係性や心理描写がメインになっていきます。これが凄く凄く面白くってですね。私は乙女ゲームにおれるエロ展開、性愛描写がたとえ純愛だろうがとにかく嫌いなんですが、このラウル√はそういう展開に伴う心理描写や変化、理屈がちゃんと描かれてて凄く楽しかったですね。そういう描写を経て、心が近づいて行く。恋愛過程が凄く納得の出来るものでとても良かったです。ラウル√、多分今までのルートで一番セクシーなシーンが多かったんですが、過程がきっちりしているので、そういうシーンもちゃんと”意味”があるものになってて凄くよかったです。ベストハッピーでとれるスチルとかなかなかにきわどいというかセクシーなものでしたね。でも嫌悪感なく読めたので個人的に楽しかったなぁと。
しかし前半から中盤までは恋愛をメインに描きながら、後半からは凄くハチャメチャに。インディー・ジョーンズ、神話ファンタジーとまぁ大騒動でしたね。わりとシリアスな展開なんですけどどことなくギャグで。重くなり過ぎないというか。まともに考えるとめっちゃシリアスな気もしますが。結構意外な展開や事実が分かったりして驚きがあって面白かったです。この√そういや、ラウル以外のPARASITE5と全く合わなかったな。ひたすらラウルと向き合った物語だった気がします。とにかく意外性あって凄く凄く楽しいルートでした!こういう恋愛過程もっと乙女ゲームで読みたいですね!ラウル√最高でした!


アラン・メルヴィル

略奪パラサイト×女=シェア財産認識、色男ピローテクニシャン
9番街に店を構える高級枕店『ラグジュアリー・ピロー』で働く技術者。お客様の要望に合わせたオーダーメイド枕は、快眠できるとセレブ女性に人気。結婚に興味があり《キューピット・コーポレーション》に登録したと言っているが、その本性はなんと本物の悪魔《インキュバス》。何故婚活をしているかは不明だが、なにか別に目的があるようで――?
想い人がいる女性会員や、恋人がいる職員に“いい夢、見させてあげる”と口説き、最終的に略奪してしまう為問題になり、厄介会員【PARASITE5】の仲間入りに。



彼は他人に恋をしている相手しか手を出さない、彼氏がいる、旦那がいる、そんな女性ばかりを狙う略奪パラサイト。その正体は人に淫夢を見させて夢の中で相手を抱いて、食事をする本物の悪魔「インキュバス」。彼のみせる淫夢が非常に快楽の強いもので、一度彼に夢を食われた相手は彼に夢中になる。そのため、彼氏や旦那と破局する女性が多く、彼が男性に恨まれて痴情のもつれに巻き込まれることが日常茶飯事です。しかし彼にとってはただ”食事”をしているだけに過ぎなく、夢を食べた相手に対して特別な感情があるわけではありません。彼にとってはただの生理現象で、夢を食べないと餓死してしまう。そういう”生態”だから仕方がないという認識です。その為悪びれる様子もなく、「女性はシェアするもの」と略奪行為を繰り返しています。そんな彼が婚活会社の会員になっているため、破局してしまう婚活会員達が後をたたず、気づけば非常に厄介な問題児会員「PARASITE5」の仲間入りをしていました。共通でリネットちゃんの指導が入りだしてもその態度は変わることなく、他人のものの女性に手を出しては痴情のもつれになっており、リネット自身にも「君もPARASITE5の誰かと恋をしなよ」「早く君も誰かに恋をしな」となんかにつけて言ってくるんですよね。想い人がいる相手に手をだす人なので、リネットちゃんはそういうアランの発言に下心を感じて苛立ちを覚えます。「アワーハニー」「俺達のかわいこちゃん」なんて呼び方でリネットちゃんの事を呼ぶので失礼極まりないって思うんですよね。共通の間はアランのそういう態度にリネットちゃんが怒ったり呆れたりしてる印象が強かったです。しかし確かに女性関係が爛れているアランですが、なにかそれだけではない様子。なにか別の目的や理由があるのが共通で見え隠れしています。そもそも何故インキュバスが婚活会社の会員になっているのかって話なわけで。共通の次点でなにか訳アリなのがよく分かります。
個別にはいってから段々アランの抱えている事情や目的が分かってくるようになるんですが、これが凄く凄く凄く切なくてですね。基本的にラブコメで重すぎないのがこのキュピパラという作品ですが、アラン√のみ、ずっと辛く切ないシリアスだったなと感じます。もうね、ほんとアランは見ていて痛々しいというか。自虐的というか。自己犠牲的というか。とにかくめちゃくちゃ健気でいじらしい人です。誰よりも神よりもずっとずっと優しい人だと思います。リネットちゃんも彼のそういう”優しさ”に惹かれていくようになるんですよ。どこまでも自己犠牲をいとわない姿勢、傷ついてるのに、自分が傷ついてでも成し遂げたいことがあるんですよね。本当に不器用で優しい子です。ルート中は彼がほんとずっと痛々しいというかいじらしく可哀想なので、早く幸せにしてあげたい気持ちでいっぱいになります。この二人に立ちはだかる障害ってのが残酷なもので、それを乗り越えるために、リネットちゃんを幸せにするために本当に身を粉にしてボロボロになるアランが凄く辛くってですね。必死にがむしゃらにただただ手を伸ばし続ける。伸ばし続けた手を掴まれたときに、子供のように泣く彼を見て私も一緒に泣きました。もう独りで頑張らなくていいんだよと。もう幸せになりなって気持ちでしたね。
過去や√中も辛いことが多いアランなので、BADはどれも形は違えど幸せなものが多かったなと思います。個人的に√途中で回収できるBADが好きです。いやあれBADじゃなくってもう一つのハッピーEDかと思いますね。ああいう関係もいいなぁって。あれはラブタイプに準じたEDですよね。どのルートでも相性の悪いラブタイプだと回収できるBADがあるんですが、アラン√だけラブタイプを変更せずに回収できるんですよ。変更せず同じラブタイプだから見れるEDかなと思います。あとED後に回収するベストじゃない方のハッピー。ハッピーというか、メリバ?的な感じもありますが、あのスチルで見れるリネットちゃんが可愛くってたまらなかったですね!あれはあれで可愛いなと。ただ個人的にアラリネはアラリネの二人でずっとラブラブしていてほしいので、あのハッピーだと少し複雑なものがあるのも確かかなぁと。なにってアランがどこまでも優しい人だから、染まり切らないんじゃないかなぁって、なんとなく。ずっと罪悪感もちそうなところが心配ですね。本当にアランとリネットちゃんは結ばれるべき運命カプだと思います。この二人は引き離したくないです。誰か一人にリネットを譲るなら間違いなくアランに渡します。それくらい彼は幸せになって欲しい、沢山たくさん頑張ってきたなって思うので、手放しに幸せになってほしいですね。凄く凄く楽しいルートでした。アランの事情を理解して二周目するのもきっと楽しいルートだと思うのでまた周回しようかなと思います。アラン大好きです!