(ぬ)乙女ゲーム感想保管庫。

乙女ゲームの感想日記。

遙かなる時空の中で7 個別感想①(大和/武蔵/宗矩/阿国)





佐々木大和

異能の天才剣士=男子高校生
現代の高校生で、主人公の幼馴染。生まれ持った強い霊力がきっかけで家族や周辺から孤立し、人嫌いに育つ。熱しやすく、冷めやすい性質。現代にも異世界にも、特に思い入れはなかったが、剣を手に入れたことをきっかけに運命が変わっていく。


大和は面倒くさがり屋で熱しやすく飽き性な現代っ子。特に趣味というものもなく、何をはじめても暇つぶしにしか思えなく、熱くなるものもない。日々を惰性で過ごしてます。捻くれ屋で、仲間内でも素直じゃなく皮肉な態度をとりがち。なので旅の序盤は同じ朱雀の八葉である武蔵とは衝突することも多く、自ら孤立するような態度をとる様子が見られます。しかし何故彼がそんな性格になったのかというと、生い立ちに関係しており、生まれたときから霊感が強い彼は、幼い時から怨霊や幽霊なるものが見えていました。しかし、怨霊がいることが当たり前の異世界と違い、現代で育った彼は「見えないものが見える」ということから周囲の人間に、それこそ親にまで気味悪がられ、孤立して育ったのです。親からは放置され、同級生には距離をとられ、誰も傍にいない日々を過ごした彼。その為彼は初めから交友を持とうとせず、自ら孤立する態度をとるのです。裏切られる事の怖さや、離れていく事の恐ろしさを知っているため。しかしそんな大和を唯一追いかけ、手を指し伸ばしてくれる存在がいます。それが七緒です。七緒ちゃんはどこにいようが、いくら大和が距離をとろうがいつだって追いかけて来てくれます。共通ではそんな七緒ちゃんとの絆や、今まで何にも熱することなく過ごしていた大和が刀と出会うことで変わっていく様子、段々仲間たちとの輪が広がっていく様子が描かれています。これがほんともうなんか熱くってですね。共通でも個別でもそうなんですが、八葉達の絆がいいんですよ。八葉達はそれぞれ八葉以前に立場があって決して仲のいい関係じゃないんです。立場上敵同士な関係のもの達が多くって、旅の際中も衝突したりギスギスした空気が流れる事も多くあるんですよ。それでも旅を続けて確かな絆が生まれている。それが身に染みる瞬間がどれも素敵で、見る度にグッとくるものがありました。特に大和は孤独な生い立ちです。そして孤立しやすい子なのです。でもその度七緒ちゃんが離れる大和を追いかけて向き合って、そんな彼女に応えたいと大和自身が成長して、そんな大和を暖かく迎え「おかえり」といってくれる仲間がほんとたまんなくって。何度も泣きましたね。大和√は辛さの涙も勿論ありましたが、仲間との絆とかの感動の涙が多かったです。本当に熱い。いい。とても。個別に入ると大和のそういう生い立ちや孤独への心の闇から段々辛い展開を迎えていきます。お互い想いあってるのに傍にいれない、孤独を選ばなくてはいけない展開が待ってます。それでもそこを乗り越えて強く成長していく姿と、「ただいま」「おかえり」がいえる仲間がいる事が本当に素晴らしく熱いシナリオになってたなと。くわしくは語りませんが、個人的に現代で見れるスチルが凄く好きです。何とも言えない悲しさと強さがあって、ひとつのけじめのつけ方。印象的なシーンです。
あと対の存在であり、ライバル関係であり、仲間である天の朱雀が宮本武蔵なので、大和も「佐々木小次郎」が関係してくるとは思ってましたがああいう形で出してくるとは思ってなくって、そのシーンも凄く熱くなりましたね!グッときました!大和√は心の距離や成長が強く描かれた√だったなと。それは大和自身もですし、敵となるキャラもですね。まさかのオチで驚きましたが、ああいう終わりでもまあいいかなと。あっけないといえばそうですが、でも皆幸せでいい。
仲間との絆や心の成長が熱くって感動した印象が強いですが、恋愛面でいえば大和はなんというかずるいかっこよさありますね。七緒ちゃんが弱ってる時に意地悪いいながら頼らせてくれるところとか、素直じゃないけど優しい。いちいちかっこいいなと感じるところと、どうしても孤立してしまう不器用さが愛おしいキャラでした。甘くないけど甘い。七緒ちゃんと対等な関係でよかったなと。あと共通ですが何気にヤキモチ焼く大和好きです。七緒ちゃんのまっすぐすぎる言葉にああもう!ってなってるところも好きだな~~と。ニヤニヤする。大和√とにかく凄く楽しかったです!!感動しました!!!だいすき!!!


宮本武蔵

礼儀正しいサムライ少年
黒田長政の近習を務める礼儀正しい少年。「日の本一の剣豪」を夢見て努力しているが、まだ試合に勝てずにいる。裏表がなく常に前向きな、明るく気持ちのいい性格。神子である主人公に、まっすぐ敬意と憧れを向けてくれる。


武蔵は本当に明るくまっすぐで常に前向きな子です。八葉としての務めも真面目にこなし、神子である七緒ちゃんにも裏表なく誠実に優しく向き合ってくれる子です。そんな彼の目標は「日の本一の剣豪になること」共通、個別一貫して、まっすぐに夢を追う彼を支える物語だったと思います。武蔵はとにかく前向きなところが凄く好感持てましたね。対の相方になる大和ルートの時もそうでしたが、どれだけ周りに不遜な態度をとられようと、彼にとって辛い出来事が起きようと、落ち込み過ぎず、それをバネに前へ常に進もうとするところが、重くなり過ぎなくてよかったです。一人で抱え込み過ぎる大和と丁度いいバランスなのかもなと思いました。大和も七緒も武蔵のまっすぐな前向きさに救われる場面も多かったように感じます。個人的にそういうシーンでお気に入りなのは、共通5章の呪詛にかかった七緒に「姫様の手は綺麗ですよ」って自然に言ってあげれる武蔵です。「化物」と言われるような醜い姿になってしまって傷つく七緒に、容姿が変わろうと、変わる以前と同じように、当たり前に「姫様の手は綺麗ですよ」って握ってあげる姿がまさに正統派王子様~~~!!って感じでときめきました。個別の火事シーンでのお姫様抱っこといい、武蔵には王子様的な誠実で頼もしいかっこよさがあって好きだなあとときめきましたね。武蔵√でいえば、個別で容姿が少しかわるのもよかったです。共通の幼さを残した可愛らしい見た目も好きですが、個別でベースは変わらないものの、少し逞しく成長してるのがよくってですね。滝行シーンの髪下した武蔵かっこよかったです。
恋愛面でいえば、武蔵は兎に角鈍感なので、どこか七緒ちゃんの片想いっぽくなってたのがよかったなと。でも武蔵も無意識に七緒ちゃんを意識して「姫様に触れていたい」とかいったりい、「恋とはどういうものだ」と悩む姿がなんか初々しい恋愛でニコニコできましたね。凄く武蔵らしい恋愛過程だったなと。
そんな恋愛面とは別で武蔵√、個人的に一番好きだったのはやはりシナリオの熱さじゃないでしょうか!めちゃくちゃ熱かったですね!シナリオ展開が!私、ベタでも「ここはまかせてお前たちは先にいけ」とどんどん仲間たちが減っていきながらラスボスにむかうシーンはやっぱりめちゃくちゃテンションあがりましたね。王道ながらに、王道だからこその良さを感じるというか。残っていく八葉がそれぞれペアで揃って背中を預け合うシーンは激熱でグッとくるものばかりでした。や~~~ああいう王道、大好きです。クライマックスに向けての盛り上がりがよかった。
また武蔵は一般的に言われる「宮本武蔵」の像とかけ離れたキャラだったんですよね。二刀流でもないし、道場破りもしない、試合も負け続け。「宮本武蔵」らしからぬ宮本武蔵が、ちゃんと物語の中でだんだん「宮本武蔵」らしくなっていくのが凄く面白く、熱かったです!二刀流になったシーンとか思わずおおおおお!!!!ってなりましたしね。「二天一流、宮本武蔵」とセリフが出たときはやはり宮本武蔵といえばこれこれ!!っとテンションあがりました。大和の佐々木小次郎の時もそうでしたが、名だたる剣豪の定番というか、イメージあるセリフやシーンになった時はやはり胸アツになりますね。
”「日の本一の剣豪」を目指す少年の成長物語”
まさに少年漫画の主人公と、そのヒロインを味わえるルートだったなと思います。一貫して熱いシナリオで、凄く楽しかったです!武蔵√も大満足でした!最高!


柳生宗矩

野生を秘めた、ストイックな密偵
眼光鋭い、寡黙な美剣士。子供の頃に一族が没落。故郷の一族の復興のために次の天下人と目される人物に隠密として仕え、課せられた任務を淡々とこなす。天下でも屈指の剣の達人。伝承に詳しく、神子にも期待している。


宗矩さんは徳川方の密偵で、寡黙でストイックな腕の立つ剣豪です。密偵という事で秘密主義というか、あまりものを語らず、自らで事を解決しようとする人なので、序盤の頃はなにを考えているのか分からない様子や、自分一人で物事を勧めちゃう様子に同じ八葉から注意される事もしばしば。しかし根は非常に真面目で優しい人です。言葉数が少なくとも、神子である七緒を思い遣る様子は共通から伺えます。個人的に宗矩ルートで好きなのは、共通で七緒ちゃんが無意識に一緒に寝るとか背中を見せるとかして、その度に戸惑う宗矩さんですかね。宗矩さんもかなりの天然たらしなんですよ。なので、七緒ちゃんも宗矩さんもお互いが天然でたらし込んでる様子がなんかお似合いな二人なんじゃないかなと感じました。個別で両想いになりだすとそれも増長されていくというか。基本的に寡黙で所謂クーデレなだけなんで、デレ出すと言葉がストレートで、とっても甘いんですよね。七緒ちゃんも素直なんで、この二人は中盤からお互いが好きで仕方ないのがよく分かります。セリフが甘かったですね!
さて、そんな恋愛面とは別でこのルートで個人的に印象に残ったのは敵側の心情です。このルートは遙かではお馴染みの鬼の一族が大きく関わってくるシナリオになっています。鬼の一族といえば、人間から迫害され、不遇な生活を強いられるために人を嫌い、恨んでいる一族というのが遙かの定番です。そして今作の鬼も人間を恨む女性です。そんな彼女の恨みと向き合いながら、恨みの怨念を断ち切り救うために戦うのが宗矩ルートのメインになっていきます。家族も仲間も理不尽に殺されて、迫害されて生きる。それは鬼に限らず、戦乱の世となると人間の間でも起きることで。このルートではそういう理不尽な目にあい、恨みを残して亡くなってしまった魂の描写がなんとも切なく、印象に残るものだったなと。魂が浄化される瞬間はウルっとくるものがありました。
宗矩ルートは最後の方はなんかとんとんとんと壮大なシナリオになって、若干おいてかれ気味だったんですが、鬼や龍神といった遙からしい要素がたくさん詰まったシナリオだったなと感じます。これぞ遙かって感じでしたね。楽しかったです。


阿国

芸の道に生きる、ミステリアスな麗人
巷の人気を集める、最近話題の芸能者。気さくで社交的な、サバサバとした性格。舞の名手で、舞台に上がれば老若男女を魅了する。大きな使命を背負った主人公に同情的で、初対面から親身に接するが、戦うことには消極的。八葉の務めにも二の足を踏む。


阿国さんは舞手の名手、どんな人でも魅了する女踊りとして有名な人です。そう「女踊り」。阿国さんは正真正銘、男性ですが周りには女性と思われています。それは旅を共にする七緒達も同じで、共通中盤までは昔馴染みである幸村、兼続、宗矩以外は皆阿国のことは「女性」だと信じきっています。そんな彼を女性と信じ旅を続ける中、七緒はある月夜の晩に男性姿で一人涙を流す阿国に出会います。「怖い夢をみた」と一人佇みただ悲しみに泣く彼に声を掛ける七緒。彼は自分の事を「コウ」と名乗ります。阿国は昼は女性の姿をした「阿国」、夜は男性の姿をした「コウ」と名乗り生活をしているのです。七緒ちゃんは夜の男性姿のコウと、昼の女性姿の阿国が同一人物だと思わず、別人と信じて交流するようになっていきます。そうしていく中で、コウ、そして阿国の抱える哀しみに少しずつ触れていくことになるんですが。阿国ルートは阿国の正体というのが何回も転がっていったのが楽しかったですね。戦国時代の阿国といえばやはり「出雲阿国」を想像してましたが、そこに繋げていくとは思わず、気付いたときはああそういうことか~~!って驚きましたね。ミステリアスな麗人、という紹介文らしく、謎の多い人物だったなと。これは史実の人物を知ってる人、後から史実の人物を調べる人、それぞれ楽しめる設定だったんじゃないかと。面白かったです。
そして阿国ルートの話ですが、阿国はとにかく重たく辛い業を背負っています。雁字搦めになって動けなくなるほど、辛く悲しい運命です。しかしその運命を越えて、自由に生きる道を選ぶのがなんとも「歌舞伎者」らしい終わりでよかったなと思います。この√だと本当に阿国の背負う問題に阿国自身がどう向き合うか、どう乗り越えていくかがメインの話なので、他の八葉があまり関わってこないというか。朱雀の二人は仲間との絆と共に心身ともに成長する物語なら、玄武の二人は己自身で己の持つ業に向き合う勇気を持つ物語でしたね。なので阿国と二人で行動することの方が多かった印象なのですが、その中でも何もきかずに手を貸して助けてくれる朱雀の二人とか好きだなぁ素敵だなぁって改めて感じ足りもしました。また恋愛面に関しては、女性の昼、男性の夜と一人で二つぶもおいしいキャラでしたね。お互いがお互いの弱さに寄り添って涙をぬぐってあげる優しい関係でとてもよかったなと。個人的に好きなのは、阿国が感極まったときに「抱きしめてもいい?」って聞くところ。そして、最終章で逆に七緒が感極まった時に阿国に「抱きしめてもいいですか?」と聞くところ。似た者同士でにこにこしちゃいますね。戦乱の世で辛い運命を背負ったあるいみロミジュリ的な二人。どちらも人の悲しみに寄り添ってあげれるとても心優しい二人だからこそ、沢山幸せになってほしいなと感じました。阿国ルート、優しい気持ちになれる√でしたね!