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乙女ゲームの感想日記。

遙かなる時空の中で7 総合感想


ルビーパーティー制作、「遙か」シリーズ第7弾。




遙かなる時空の中で7


舞台は乱世といわれた戦国時代。織田信長の娘として、龍神の神子として、戦乱の世を駆け抜けていきます。激動の時代の熱さも苦さも重さも全て描きつつ、きっちりときめかしてくれる品の良さ。安定して素晴らしい良作でした!!




その恋は、運命を越える。


“ならば、そなたが乱世を鎮めてみせよ”


主人公は山の中の神社の娘として育った、現代の女子高生。


ある日、実家近くで怨霊に襲われたところを、駆けつけた若者に助けられる。
真田幸村と名乗るその若者は、時代劇のような甲冑を身にまとっていた。


次々と姿を現す、戦装束の男性たち。
山中の怨霊は増え続け、ついには町につながる唯一のトンネルまでも塞いでしまう。


その原因は異世界の龍脈の乱れ。
異なるふたつの時空がつながり、幸村たちの暮らす異世界から現代へ、
怨霊が流れ込んでいるのだという。


事態を解決するため、主人公は幸村たちとともに異世界・戦国へ向かうことに。
そこでは戦乱が続いて龍脈が乱れ、天下は荒れ果てていた。


かつて信長の居城だった安土城の跡を訪れた主人公は、
自分が信長の娘であり、この城で育ったことを思い出す。


父・織田信長が残した最後の言葉を胸に、
少女は怨霊はびこる乱世を駆けていく――


公式サイトより)


プレイ時間


共通:26時間
個別:3~6時間


共通は全5章、個別は6~8章(青龍のみ9章まで)
現代で戦国武将と出会い、自分が異世界の人間だったことを知り、龍神の神子として戦乱の世を駆け抜けるのが共通。共通から激熱シナリオでした。5章まで非常にボリュームがあり、戦乱の世の厳しさや龍神の神子としての苦難や壁を八葉とともに乗り越え、絆を深め成長していく物語です。共通だけで一つ話が完結してるので、第一部(共通)、第二部(個別)といった感覚ですね。3章までは全員個別イベントを進めていく事が可能ですが、4章からは西軍、東軍でイベント進行に分岐が入ります。そこから5章でより細かなルート分岐がはいる形になっています。周回してもレベルや持ち物の引き継ぎはなく、開始時に多少のアイテムが報酬されるだけなので、分岐点でセーブを残して回収するほうがプレイしやすいと思います。一度攻略すると、セーブデータからの周回でもボス戦スキップ可能です。サブイベントである四神戦もスキップ可能なので、分岐セーブ周回推奨ですね。


個別からは大切な相手と共に、関ヶ原の戦いに巻き込まれながら、生き抜くシナリオになっていきます。キャラによってボリューム差があり。しかしどれも激熱な重厚シナリオになります。個別からは関ヶ原の戦いが関わってくることになり、より戦の厳しさを描いていく事になります。立場上八葉が全員そろう事も少なくなるので、ある程度個別でレベル上げしておくといいかもしれません。時間はかかりますがレベル35あればクリア可能でした。



選択肢/ED

選択肢

選択肢は3~4択。(アイキャッチ有)


全てが好感度に関わるものとも限らず、長いシナリオのまとめや、ヒロインの性格の味付けに存在する選択肢もあります。また好感度は戦闘でもあげる事が可能のため、好感度MAXになった場合愛キャッチは表示されなくなります。


ED

EDは基本ハッピーのみ(共通はノーマルED有)


選択肢上で即死系BADがいくつかあります。サクッと終わるものばかりでした。EDリストもないので回収してもしなくても。共通では誰とも恋愛フラグを立てずに終えるとノーマルEDを回収できます。スチル付きです。


システム/サウンド/グラフィック

システム

遙かは5以来のプレイですが、過去作に比べると非常に戦闘が楽になっており、マップエンカウントも減り、凄く遊びやすくなっていました。Switchから遙かを始めた人、作業が苦手な人でもプレイがしやすいかと。また攻略の手引きがゲーム内にあるので、フラグ管理がしやすいです。


サウンド

めちゃくちゃいいです!!本当に素晴らしい!ネオロマは本当に音楽がいい。今作もBGMで盛り上がりまくるものばかりでした。全部大好きなので一番が決めれませんが「乗り越えるべきもの」「竜虎相縛」「限りない未来」「英雄譚の終わり」がやはり好きで何度も聴き続けてますね。


グラフィック

文句なしに綺麗な絵ですね!ゲーム内スチルの美しさもさることながら、パッケージの水野先生の絵も華やかで大好きです!昔から水野先生のファンというのもありますがwスチルにもエフェクトがかかっており、ギャラリーから確認してもエフェクトがちゃんと掛かるようになってるのが芸が細かくて好きです。恋愛的なスチルが少ない印象ですが、それも遙からしいですね。床ドンがあったのには驚きとときめきでした。戦闘系スチルが皆かっこいい。



シナリオ

本当に安定して最高に面白い作品でした。熱く、重厚な物語で、プレイ時間としては70時間くらいでしたが、体幹としては100時間以上プレイしたような感覚です。それくらいには内容が濃密で、仲間たちと色んな壁を乗り越えて旅をしてきた思い出が深く心に残っています。今作は舞台が戦国時代という事で、戦乱の世の厳しさも苦さも全部描かれています。武将も民も、あの時代に生きた人々にとっての苦しみや辛さを感じながら、それでも己の守りたいものの為に武器を手に取り闘う男たちの、泥臭くも勇ましく、かっこいい生きざまが強く描かれていました。とくに物語終盤は関ヶ原の戦いが絡んでくる話ですが、勝者である東軍、敗者である西軍。どちらも今回は攻略対象にいます。東軍側の凛々しく勇敢な様子も凄くかっこよかったのですが、今作は個人的に西軍側のシナリオが凄く印象的でした。敗者として崩れていく悲しさ、足掻いてもがいても変えられぬ運命。それでも護るものの為に戦い生きぬく泥臭さ。回避できない悲劇に向かいながら、懸命に生きる姿があまりにかっこよく、心打つものばかりでした。東軍西軍に限らず、戦国の世故の犠牲が多いシナリオです。その犠牲の中で、死を重んじて魂を送り出す大切さを身に染みて考えさせられるものばかりでした。遙かは史実歴史ものとファンタジー要素の混ざり具合が本当にバランスいいと感じます。龍神や四神など、神域のファンタジー要素が加わりながら、史実はどこまでも史実通り描き切るところが凄く好感的で、プレイしたあと、いつもその題材になった時代を勉強しなおしたくなります。恋愛をしながら学ぶ歴史の教科書って感じですね。歴史ものがあまり得意でない人でも、ファンタジー要素も強いので、楽しみやすい物語になってるなと。激動の時代のなかで育まれる想いや絆、熱さを是非味わってほしい。この男らしい熱量は遙かじゃないと味わえないものだと思います。本当に素晴らしかったです。



キャラについて


真田幸村

幸せになれよ!!!!!!!遙か7は真田幸村のためのゲームだったといっても過言はないくらいには最後全部持っていく男でした。史実系歴史物の醍醐味、全てが詰まっていたと思います。熱く、悲しく、色んな感情がぐちゃぐちゃにされたルート。大好きです。EDは人によって賛否両論だと思います。しかしあの終わり方をするのがメインヒーロ―なのもまた、””良さ””を感じます。乙女的に一番糖度が高いのも彼ですね!しかしそれと同時に悲惨さも高いのが彼です!永遠の英雄。まさにそんな存在。



天野五月

神として意思を重んじて天に帰るのが幸村なら、人としての平凡な幸せを掴み日常に溶け込むのが五月だったなと。過保護で不器用なお兄ちゃん。その器用貧乏さがとても好きでした。彼には家族と幸せになって欲しかった。もっと見たかった。戦国オタクだけど唯一戦国の世に残らない選択をするところが、オタクとして素晴らしい姿勢だと思う。心根優しいけど、守りたいものの為なら非常になる。彼の変化は””戦国の世を生きるということ””をまさに体現して描いていたものだったなと。幸せになってね。



宮本武蔵

武蔵の実直さは本当に癒しでしたね。味方でも敵になっても武蔵のまっすぐさに救われることが多かったです。直向きに鍛錬を重ねて宮本武蔵へ””成長””する物語が、王道ながら熱く、めちゃくちゃ好きなルートでした。作中でもいわれてますが、まさに少年漫画の主人公。乙女ゲームのヒロインというより、少年漫画のヒロインになれるシナリオで、珍しいルートだったかもしれませんね。可愛い見た目をしてますが、とても男らしくときめかしてくれた王子様です。



佐々木大和

ひねくれ者で、素直じゃないけど、根っ子が熱くて情が深い。幸村ルートのラストの方の彼の想いに泣きましたね。孤独な生い立ち、辛い過去に区切りをつけて新しく””生まれ変わる””物語。苦さもありますが一番優しく、仲間との絆に暖かくなるシナリオでした。大和は設定的に転生ものラノベ主人公なんですよね。異世界でチートとして生きれるけど、現代への未練で思い悩み葛藤し、区切りをつける話の流れが凄く好きです。新しい人生、謳歌してほしい。幸せにな!!



黒田長政

皆大好き長政様。人気なのも納得のカリスマ絶対的男前俺様でしたね。厳しく叱られたい人向け。ルート中ほんと何回叱られるんだろうってくらい怒鳴り散しでてた印象ですが、ずるいかなかっこいいんだこれが。敵同士になるロミジュリ展開で発狂しました。想いあってるのに先回りでフッてくるし、フッときながらも、意地悪に甘やかす態度とるしでずるいよね~~~。神すらもただの女に引きずり下ろす俺様具合がやはり長政様らしいなと。大好き。



直江兼続

愛してる!!!!!!!!!!!!本作最推し。大好きです。ズルくて意地悪で食えない胡散臭さある男なのに、根っ子がまっすぐで誠実。痛みや辛さに寄り添ってくれる優しさががたまらなかったです。彼の√は辛いものばかりで、苦味も悲しみも強いルートですが、それゆえに沢山の幸福に包まれて欲しい。幸村ルートで最後に残されて生きる彼はどんな想いを抱えていくのだろうか。天女を返したくないと、帰さないためにずるをするといういじらしさ。根っ子の好奇心旺盛なやんちゃな部分が可愛くって仕方ないので、純粋に笑ってられる彼を見続けたいです。



阿国

優しい人。阿国さんは本当に辛い時、優しく慰めてくれるし、意思に寄り添ってくれる。辛いシナリオでも阿国さんがいると安心する事が多かったです。女性の時の「あんた」って支えられるのが凄く好き。しかし男性時の悲しみと弱さを抱えた彼も大好きです。何重にも隠された謎が解けていって、その寝底の悲しみに触れ、寄り添いあい、全てを捨てて自由になるシナリオが歌舞伎者らしくって大好きですね!本当に優しい人なので、その優しさを与えた分、優しさを与えられてほしいですね、幸せになって。



柳生宗矩

ストイック寡黙隠密。しかし傷の手当てをしあったりと、何処か艶っぽいお色気担当だった気もします。デレ方もストレートでしたしね。彼は「遙か」要素を一身に引き受けたルートだった気がします。従来の遙かっぽいシナリオですよね。このルートは苦味の印象が強いです。成仏していく魂の描写があまりに悲しく、それでいて美しいものに感じました。救ってあげたかった。しかしあれも救いだったのか。幸せになってほしかったな。宗矩は幸せになれそうなので安心ですね。




最後に

遙か5以来の「遙か」シリーズ!!9年ぶりなんです実は!過去作からファンですが9年経っても変わらぬ面白さ。本当に熱量ある作品で、プレイ後の喪失感が凄いです。でも遙かはまだまだ展開する作品なので、7の子達もまた出会う機会があるだろうなと。また会えるのを楽しみにまってます!!



推しランク


兼続>幸村>五月=大和=阿国=武蔵>長政>宗矩


全員団子な勢いで好きですがうやっぱり西軍贔屓。兼続さんが大好きです!!!ついで幸村!!!西軍は皆幸せになって!!!!!!



おすすめ攻略順


大和→武蔵→宗矩→長政→阿国→兼続→五月→幸村


西軍である兼続、幸村は後半に回した方がいいです。青龍二人は大きな事実が発覚するので、ラスト。読後感的にも幸村がラストで。