(ぬ)乙女ゲーム感想保管庫。

乙女ゲームの感想日記。

ひめひびAWB個別感想②(中人/千晴)




紙袋中人

守銭奴×ポーン×身分違い
臨機応変で多才なTHE・モブ。お金を稼ぐことが何よりの生き甲斐。何故紙袋を被っているかなど謎多き人物。悪い奴ではないが権力に弱く、お金が絡むと普段できないことも急に出来るようになる。不思議。



全く素顔が見えない紙袋を被った見た目と明らかに偽名だろと思わざる負えない名前のインパクトのデカさから、発売前の時点で既に気になって気になって仕方ないキャラでした。実際にプレイを初めて見た共通や他の攻略対象での彼は、ひたすらふざけ倒しているというか。癖が強すぎるというか。敬語を使っているけどどこか適当な口調ですし、何でもやってのける多才さを見たと思えば、紳士然たる態度は一切取らない。表情もしわくちゃになるかふくらむかしかしないので、色々掴みどころがなく分からない、ある意味謎に包まれてて。全てにおいて飛び道具すぎて、ついつい目でおっちゃう。気にならざる負えないキャラでした。プレイヤーの自分でさえそうなんですから、個別で笑深ちゃんが中人と関わるたびに、気になってしまい、段々心惹かれてしまうのも無理ないなとおもうんですよね。


この√の笑深ちゃんは本当にずっと最後の最後まで片想いで、中人を追いかけて追いかけて追いかけ続けていた印象が強いです。また対する中人は、笑深ちゃんの想いを知っておきながら、素知らぬふりして、拒絶して、傷つけて、ひたすら逃げて、逃げ続ける。追い追われ、沢山試して、沢山傷つけあう。そんな末にたどり着く関係、シナリオでしたね。正直プレイし終わった今では中人のことはズルくて面倒くさい男だなと思います。笑深ちゃんは他の男を選んだ方がきっともっと楽に幸せになれただろうなって。まぁそれは中人自身も自覚してますし、実際にそれが分かっていたからこそ、笑深ちゃんからの好意を拒絶し続けていたんでしょうけど。それでもどんなに傷つけられてもそれでも中人さんがいい!私が好きなのは中人さんなのだと追いかける笑深ちゃんの姿は健気で愛おしく、正直中人は面倒くさいってわかってても中えみを求めてしまう自分がいました。面倒くさいしズルい男だなって。そう思ってても正直本当に凄くときめかざる負えなかったといいますか。最初っから最後までずっとひたすらきゅんきゅんしていたのが悔しいくらいには、ひたすら萌えさせてくれたキャラなので。関係性でいえばかずえみや夢えみの方がよっぽど尊いんですけど。でも後日談を凄く凄く読みたいのは中えみでしたね。
あみあみとステラで今作は購入してますが、中えみ欲しさにシチュCDが欲しくて公式通販も追加で買うことを検討するくらいにはツボでしたね。本当に悔しい。色々本当にズルかったんです。


この√では、来るヴァレンタイフェスティバルに向けて行う催しで「肝試し」を行うことになります。決定したきっかけとして、中人の適当な意見が原因だったため、肝試しの企画運営を中人と笑深ちゃんがともに担うことに。そこで行動を共にしていくことになるんですが、元々中人は千晴からの命令で笑深ちゃんの護衛役でもあるんですよね。しかしそれは護衛役をすることで給金が発生するため。そして今回の肝試しの運営、笑深ちゃんのサポートも給金が発生するため。そう、彼は基本的にお金の事にしか興味がなく、お金のためにしか動かない人なんですよね。お金が絡まない事には興味もなく、その"興味がない"対象には笑深ちゃん自身も含まれています。その為、他の攻略対象達と比べても中人の笑深ちゃんへの態度って素っ気なくって、厳し目というか。なんだかんだで皇学園ってプリンスを養成する学校の為、皆紳士なんですよね。俺様キャラである政宗ですら、口は悪いものの態度は紳士的ですし、無暗矢鱈と笑深ちゃんに攻撃的な言葉は使いません。しかし中人は違うんですよ。思ったこと明け透けとなく言いますし、そこに笑深ちゃんを気遣うという言葉選びはありません。なので皮肉や嫌味を混ぜ返して、返答することの方が多く、意図的に笑深ちゃんと距離を作るような態度をとるんですよね。しかし笑深ちゃん自身はどんなに辛く当たられようと、中人と仲良くなりたいんですよ。ヴァレフェスで協力しあうため、そしてそれ以前に中人には護衛兼従者として色々良くしてもらっている。たとえそれが給金の発生があるからだといえど、嫌がっていた自分に力をかしてくれる。嫌味や皮肉、呆れられることが多くても、立ち止まってしまう自分に分かりにくくも気遣ってくれるときがる。そんな中人の優しいところも知っているからこそ、お金のやり取りで繋がるのではなく、もっと普通に中人の事を知りたい。仲良くなりたい。そうした想いが段々恋心に変わっていくことになるんですが。
このルートはここからが大変なんですよね。中人は笑深ちゃんが自身に向ける恋心に気付いています。分かっているからこそ笑深ちゃん自身を拒絶したり、想いに対して素知らぬ顔で無視をしたり、逆にあえてお金さえ払えばいう事をきく、金で好きな男を思い通りにできるのは最高だろう?と試して、何度も笑深ちゃんを傷つけたりします。中人がこういう態度を取るのには中人の生い立ちや過去に大きな原因があるのですが、そこに行きつくまでも散々追い追われ、傷つけ傷つけられ、過去が分かった後でも逃げて追いかけて。とにかく笑深ちゃんが大変だった√だったなって思うんですよね。中人が疑心的で人を信用せず、笑深ちゃんを拒絶するにいたる理由もわかるんですけどね。それでも振り向かすまでが本当に大変だったキャラだと思います。本心がなかなか読めないキャラなのでね。拒絶している中で実際は笑深ちゃんのことをどう思っているのか、なかなか分からず。分かりずらく。健気に片想いする笑深ちゃんがいじらしくって早くくっ付いてほしい気持ちでいっぱいでした。
しかしそんな焦らしに焦らされたシナリオだったのでね。時折くるデレの破壊力は本当に凄かったです。笑深ちゃん自身も突然の供給にパンクしていましたが、あれは仕方ないと思います。「可愛い」で私もじたばたしていましたね。何度も同じシーンリピートしました。敬語からのため口の破壊力。優しい声色の破壊力。名前呼びの破壊力。素顔の破壊力。ほんととにかく時折くる少しだけのデレの威力が毎回凄くって、中人はズルいなあって思います。ほんともっといちゃいちゃしてる中えみが見たくて見たくて。後日談が欲しい。中えみが足りない。もっと見たいです。ホワイトリリィ、ピュアEDはデレの爆発力が凄すぎてひたすらときめいた終わりでした。


対するブラックリリィ、スキャンダルEDは、逆に凄く凄くどちらも辛いEDだったかなと。こちらのEDを迎える展開では、身分違いやお金で繋ぎ止める関係性、恋人ごっこなど、報われることのない要素が沢山詰まっており、メリバED系のブラックリリィですら、両想いという形になり得てないので辛かったですね。いやちゃんと想いはどちらにもあるんですけど、決定的にまじりあう事はないというか。スキャンダルとブラックリリィ、どちらの方が幸せなのか、難しいところだなって思うんです。ブラックリリィはきっと壊れてしまった笑深ちゃんが中人の尊厳を踏みにじりながらも、我慢をやめて生きる形ですし。スキャンダルEDでは段々壊れだしていく中人に、自身の尊厳を踏みにじらせることで我慢をやめさせていますし。
どちらにしろ笑深ちゃんは壊れてしまいますからね。中人は笑深ちゃんの心を守りたかったはずだからこそ辛い終わりだなと。光系と闇系のED分岐をする手前で「自分に痛みを伴う"罰"を与えろ」と、中人は笑深ちゃんを遠ざけるために言ってましたが、結果的には闇系EDはどちらも"笑深ちゃんが壊れたことへの後悔"という痛みをずっと抱えるEDですからね。ブラックリリィもスキャンダルも、どちらも中人に対する"罰"なんだろうなと思います。報われない。
ただそんな悲壮感あるEDですが、ブラックリリィで中人が自分がモデルの恋人のフリをしてる時に、色々葛藤していたのはめちゃくちゃ萌えました。まさか自分から自分へダメだしするとは。下心があるゆえの手をつなぐことすら不健全な申し出だったかもと考えるあたり、中人も紳士なんやなと。素っ気ない態度を取るようオーダーされてるのに、いざ素っ気ない態度に傷つく笑深ちゃんに悶々としてるところも最高でしたね。


政宗√をプレイした時点でなんとなく中人の過去や、メインになってくる議題も近しいところがあるのだろうと予想はしていました。そして政宗√同様、実際に行われた物事の詳細はあまり語られてないんですよね。けど政宗√より闇寄りの色が強いのは中人自身が捻くれているからでしょうかね。捻くれていて皮肉屋でズルくて面倒くさい。そんな中人が本当に好きです。


最高に萌えさせてくれためちゃくちゃ楽しい√でした。中えみを下さいほんと切実に。


皇千晴

完璧×キング×玉の輿
皇学園創始者の直系の子孫。孤高の学園NO.1。気品に満ち溢れた紳士的で正統派な王子様。…というのはメディア向けの顔で、学園内では何人たりとも逆らうことを許さない魔王として敬畏されている。



皇会と呼ばれる、キングを中心に学園の運営をする組織があり、キングから直々に指名された所属メンバーはいずれもチェスの駒に準えた称号をつけられます。「学園の運営」ときき活動内容を一見すると生徒会のようなものを想起できますが、皇会の場合は持つ権力の規模が違います。役員に選ばれたものは生徒の模範であり続けることを第一に義務付けられ、学園に関する事を一任するため、一人一人の負担が大きいです。
その中心に立つ「キング」という役職は、学園の生徒および教職員全てから票を獲得した者だけがなれるものとされており、就任したその瞬間から学園の全権限を手にすることが許されています。
そしてその「キング」の称号をもつのが皇学園の創始者の子孫であり、現学園長である皇艶真の愛息子である、皇千晴です。学園の頂点に君臨する彼は全生徒および教員、ともすれば世界そのものの「憧れ」であり、彼が登校するだけで、その姿を一目見ようと集まる人の海が毎回出来るほど。歩けば拍手喝采、喋れば感涙、微笑めば人が次々と倒れる。存在するだけで「キング万歳!キング万歳!」と繰り返される賛美の光景は、見ていて少し異様に思えるほど。しかしそれほどの有無を言わせぬカリスマ性と圧力があるんですよね。
しかし彼に向けられる視線はなにも「憧憬」によるものばかりではありません。圧倒的な権力と威圧による畏怖、敬畏の念も込められています。「キングの言葉は絶対服従」それは例え皇会に所属する者でも変わりなく、学園の関係者は皆彼に逆らう事は許されません。共通や他√でも、彼のそういった絶対的王者の風格は見え隠れしており、光系のEDだと非常に心強い味方であり、闇系EDだととても末恐ろしい気持ちにさせてくれました。とはいえ、冷酷な中にも救われたいと願う優しさが見えるのがまた素敵なキャラで、個別以外でも凄く魅力を放つキャラでしたね。


そしてそんな孤高のNO.1、千晴が唯一強く執着する存在。それが今作のヒロイン如月笑深ちゃんです。


共通や他√の時点で、千晴が笑深ちゃんにそれはもう強い強い感情を持っているのは見えていたので、絶対「君の為なら世界を壊す系男子だ!!」とプレイ前からワクワクしていたのですが、プレイ後の今、結論からいえば千晴はどこまでも「キング」というより「王子様」なのかなと。ホワイトリリィ、ピュアEDの千晴は本当にずっとずっと品が良くって綺麗で美しい正統派王子様です。いやほんと笑深ちゃん大好きすぎるのが滲み出まくってて、可愛いんですよ!名前を呼ばれたり、手を握ったり。ほんとそれだけで凄くうれしそうにする様子が愛おしくて、可愛くって。好きな食べ物を食べている時の反応もそうですが、基本的に「好き」という感情に対してストレートな人なのかなと。言い方を変えるととんでもなく「一途」な人だと思います。まぁ勿論孤独な生い立ち故の反動もあるんでしょうが。それでも純粋に笑深ちゃんが大好き大好き大好き~~!!という想いが溢れてて、それでいて笑深ちゃんを縛り付けず、彼女に選択肢を与え続けるいじらしさと優しさがあって。こうも一途だと幸せにしてあげたい気持ちになりましたね。関係性もいわゆる運命カプ的なやつですし。王道正統派王子様属性なんですよね。ステラの小冊子のやりとりがめちゃくちゃ可愛すぎるんで、ちはえみ好きステラ小冊子必見かと。あとホワイトリリィの方では最終的に唯一艶真様とも向き合える結末でしたし、ウェリングスチルが見れたのも最高でした!


しかしまぁ「一途」と「執着」は近しいものがあります。彼の笑深ちゃんを想う心は純真な想いだと思いますが、彼の生い立ちや経歴は影を落とすものです。ブラックリリィ、スキャンダルEDでは心を黒く染め上げ、なりを潜めつつあった「冷酷さ」がじわじわと表面化していくことで笑深ちゃんの心にも影を差していく展開でしたね。最終的な関係性でいえばブラックリリィが降り切ってて好きですね。壊れるときは一緒に壊れてほしい派。"皇"の教訓のままに、王者として君臨する。"君の為なら世界を壊す系男子"ならこうでなくちゃなと。締めくくりの文章が「二度と戻れなくても」とOPの最初のフレーズになるところがめちゃくちゃ粋な演出で好きです。心は真っ黒でも想いあう心は純真ですよね。純愛。
とはいえブラックリリィは「キング」になる終わりでしたが、対するスキャンダルEDが個人的にどこまでいっても千晴は「王子様」なのかなぁと感じた部分です。闇系の展開に進んて行くと、笑深ちゃんは自分の存在が千晴を狂わせたのだと後悔していくんですよね。自分がいるから千晴の心は「黒」になったのだと。自分さえいなければ彼の心は「白」になるはずと。「白」にもどさなきゃ。だって彼には「黒」はふさわしくない。そういった思考に囚われていきます。そしてそんな笑深ちゃんにいつまでも「夢」を見ませてあげる選択を選んだあたりが、千晴はやはり「王子様」なんだろうなと。千晴はとうに黒く染まり切ってますし、あの微睡みの楽園の中で描かれてない部分は想像でしかありませんが、ブラックリリィと似た結末なんだろうなと。笑深ちゃんを黒に引き込むことなく、白のまま傍にいる。互いが相手の心は「白」のままでいてほしいと思った結果の関係性なんでしょうかね。
OPの歌詞の「二度と戻れなくても 貴方だけの世界を知りたい」「夢ならば覚めないで 秘密の楽園へつれていって」って歌詞が、まんま千晴のブラックリリィとスキャンダルEDにしか聴こえなくなってしんどいです。OP好き。


千晴√では来る2/14のヴァレフェスに向けて、朗読会を催すことになります。朗読会で読まれる台本は「シンデレラ」をモチーフとしたオリジナルシナリオで、千晴と笑深ちゃんの交互で描いていくことになるんですよね。その"シンデレラ"が千晴と笑深ちゃんの関係性を準えていく事になり、結末がかわっていくのですが。
この√はとにかく√全体の構成が面白かったですね。台本を交互に書き上げていくので、台本上の物語と現実の関係性を同時に追いかけながら進む形式も面白かったですし、台本以外にも笑深ちゃんは定期的にプリンセスとしての対応を求められるので、テーブルマナーの本を読んでいるんですよ。テーブルマナーについて毎回紹介されてるんですが、これが√中盤になるとまるでテストのごとく選択肢を迫られまして。光系、闇系√分岐手前に用意されているので、ちゃんと覚えてないと闇系√に分岐してしまう構成が面白かったなと。何周か試してましたが、あそこのテスト2問間違えた時点で闇分岐でしたね。面白い。



まぁそんな感じで√構成も変わってて面白かったし、千晴が光でも闇でも「王子様」だなぁとつくづく感じるキャラでとても楽しい√でした。あと千晴が「王子様」だと再認識すればするほど、夢慈先生√も輝くなぁと。また今度夢慈先生√も再プレイしたいですね、