(ぬ)乙女ゲーム感想保管庫。

乙女ゲームの感想日記。

ひめひびAWB個別感想①(政宗/一角/夢慈)




荒城政宗

俺様×ルーク×純愛
千晴の幼馴染。上から目線の兄貴肌な学園NO.2
荒い言葉使いと強引な態度で接してくるため威圧感を覚えがちだが、
その男気と度量の広さで学園の生徒たちからは『お兄様』『アニキ』と慕われている。
警備部を統括している。



「えす!えー!えむ!ゆー!」「えす!えー!えむ!ゆー!」という男子生徒達による黄色い声(?)と共に、惜しげなくスチル付きで肉体美を晒したかと思えば、使用済みのタオルをブーケトスがごとく投げ渡されるという、ファンサービス(?)を受ける。そんな強烈なファーストコンタクトのインパクトが強すぎて、第一印象は「なんだこの人??」でしたね。いかにもな俺様台詞とセクシーの押し売り(黄色い声のオプション付き)は「SUMU TIME(サムタイム)」という、謎のファンサービスの一環らしいです。(伝わるか分かりませんがノリでいうと某六つ子アニメのイケメンバージョンのアレに近いというか。どうも某肉食系肉を思い出しちゃう既視感)


しかしこれは所謂、"テレビ用のキャラ"というやつで、政宗は素と表向きで態度を変えています。自身の"役割"に準じているというか。テレビ向けの政宗は高圧的で露骨に口説くような態度をとってきますが、素の政宗はどちらかというと口は悪いが面倒見のいい兄貴肌です。笑深ちゃんに対しても最初は素っ気ない態度を取っていますし、直接「お前となれ合うつもりはない」と言ってきますが、笑深ちゃんの為にエスプレッソを淹れてくれたり、アドバイスをくれたりなど、粗暴な態度の中にも優しさが見え隠れしている。共通ではそんなテレビで見ていた印象と、素の様子が違う事に違和感を覚えながらも、もっと仲良くなりたいなと思うところから始まります。


共通の最後は、2/14に行われる共学化の意識アンケートで賛成派を増やすために、ヴァレンタインにちなんだ催しを行うことを決めます。その催しをどんなものにするのか、それぞれの得意分野とされる案を5つほどだし、誰の案を採用するかで個別分岐していきます。


政宗√では政宗の得意分野とされる「コンテスト」が採用されます。コンテストの案を採用した笑深ちゃんは、千晴から政宗とともに二人で中心になって催しをまとめていくよう頼まれます。最初は距離がある二人ですが、この催しを二人で協力してまとめていくうちに、だんだん縮まっていくことに。


この√、全体的に笑深ちゃんが向上心を見せていく事で、政宗との信頼関係が生まれていった印象ですね。政宗って蓋を開けば非常にかっこよく、文句なしにいい男!といえるような、説得力のある俺様なんですよ。テレビ向けのなんちゃって俺様キャラが嘘のよう。仕事も出来るし、頭もいい。リーダーシップもあり、周りをどんどん引っ張っていく。仕事人間すぎるくらい、一人で色んな物事を捌ける"出来る男"です。それでいて、全部自己完結するのではなく、時には厳しく叱り、時には頼もしく励まし、周りも成長できるよう向上心を促してくれる。知れば知るほど面倒見のいい男前なキャラで、久々に純粋にかっこいいとときめかせてくれる人でしたね。理想の上司かってくらい、人の上に立って先導していくのが上手な人なんです。裏を返せば、"そういう"教育を常にされてきたという事なんですが。そんな人なので、彼についていきたいという人は多いんですが、彼と対等になって傍にいたいという人は少ないんですよ。笑深ちゃんは政宗に頼り切りになるのではなく、懸命に自身で意見を考え、政宗を支えようと寄り添い、対等の立場を目指すことで、彼との心の距離を縮めていくんです。まぁ個人的に、政宗に意見を聞かれた際に、政宗に頼り切る選択肢をした時にでる、「 か ん が え ろ 」って叱られるシチュも割と好きだったんですけどね。


また二人で協力してまとめていくコンテストというのが、視聴者からシチュエーションのお題を貰い、アドリブで恋愛ショートドラマをこなすことで、プリンス度を競うというものなんですよ。作中でも言われてますが、某アイドルグループのバラエティ番組と同じものです。その恋愛ショートドラマの練習風景も2/14まではテレビで流すということなので、様々な恋愛シチュを二人で演じることになるんです。段々心の距離が縮まっていくうちに、演技から本音が混ざりだす甘酸っぱい展開はなんだか、久々に健全かつ王道な、"乙女ゲーム"らしいシナリオで凄くよかったですね~!マフラーのくだりとか!なんせCERO:Bですからね!ド健全!√テーマにも「純愛」が入ってるように、懐かしさすら感じる爽やかかつ甘酸っぱい健全な恋愛模様は、本当に久々に乙女ゲームしてる~~!!って気持ちにさせてくれてとってもよかったです!


しかしそれ故にシリアスとのバランスが難しいところではありますね。今作は白黒、光のTAKUYOと闇のTAKUYOが混在してる作品です。ラブコメとシリアスの両方の側面を持たないといけないんですが、個人的に政宗√は光の側面のほうが印象に残る感じでしたね。後半になると政宗の家庭事情がちらほらみえてくるんですが、バックグラウンドは基本口頭説明で澄ましちゃうんですよ。それも題材のせいもあるんでしょうが、ぼやかした言い回しでの説明なので、はっきりどんな教育で、どんな生い立ちなのかは描写されていません。故に彼がどれだけの業を背負って葛藤していたのか、もう少し知りたかったなぁという気持ちがありますね。ブラックリリィEDや、スキャンダルEDなんかは、ここら辺の葛藤をより分かっておけばもっと萌えれたと思うんですよ。しかしあまり重く描きすぎると、先ほど話したような健全で純愛な甘酸っぱさというのが薄れそうですし。そこら辺のバランスってむずかしいなぁと感じながらプレイしていましたね。


ただ、スキャンダルEDやブラックリリィなどの、所謂闇寄りのEDに分岐していく時の流れは、あれよあれよと良くない方向にスッ転がっていく感じがして好きでした。雷のくだりとか、BGM含めて背徳感あって好きですしね~~!!もっと!もっと闇へ落ちていくくだりをみたかった!!共依存が性癖おじさん、二人ともそこに落ちていく要素は持っているので、闇の部分でもこの二人を楽しんでみたかった気持ちはやぶさかではありません。ただ笑深ちゃんはわりと健全なので、スキャンダルEDとかだと、壊れる前の政宗に未練が強く残ってるのが悲しかったですね。片方だけが壊れているのは寂しいですよね。


あとこれは別に描写されてるわけではないので個人的な想像でしたが、恋愛面における政宗は非常に余裕があり、恋愛に不慣れな笑深ちゃんにわざと挑発的な態度をとって「初心な反応も悪くねぇけどな」って言ってるシーンなどもあるんですよね。まぁ外部からの学生ですし、そういう経験が普通にあってもおかしくはないですが、どういう風に動けば相手が自分の思うように動くか、人を動かす教育を受けてきている政宗です。その教育の一環にはこういう側面もあったりしたのかな?なんて思うと、闇深いかなぁなんて。、まぁあくまで想像なんですけどね!ホントどういう教育で生い立ちだったのか詳しい背景が知りたかった!!


というわけで、闇の部分にもっと触れたかったという想いもある半面、ホワイトリリィやピュアEDの健全かつ爽やかな恋愛模様に久々に純粋に乙女ゲームをしてる感覚になれて、とても楽しかった政宗√!よかったです!!他の√もどうなるのか楽しみです!!


八十八騎一角

ユニコーン×ナイト×乙女信者
朋友(とも)より紡がれし神託(ポエム)をその身に降ろす一角獣(ユニコーン)
物静かで冷たい印象を放つ。自らをユニコーンと名乗る謎めいた雰囲気の青年。
笑深を"運命の乙女"だと信じ付き従うようになる。



言葉数が少なく物静か。しかし口を開けば自らをユニコーンと称し、独自の世界観を話し出す。話しかけても返答はなく、話だしても言葉の意味が分からない。共通の時点では一切会話のキャッチボールが不可能にもかかわらず、慣れているのか皆スルーしつつも会話が成立しているとこが面白かったですね。意見を聞く為に話題をふったにも関わらず「私はユニコーン」という返答に、「そうですね」と穏やかに返すやり取りとか微笑ましくって好きでした。電波すぎる印象が強い共通、一体どんな恋愛になるのかと楽しみでしたが、個別√は性癖に刺さりまくる、人の柔らかく脆いメンタル部分を描くシナリオで最高でしたね!!政宗√の時に光要素が強くて闇が物足りないという感想を書きましたが、一角√は逆に闇寄りに振り切ったメンタル描写が多くって、常時不安定で不穏な空気がぬぐえず、じわじわ崩れていく様子、だんだんずぶずぶになっていく二人にプレイ中は大興奮でした。TAKUYOさんの描く共依存って本当にツボなんですよね。
互いの存在が「居場所」や「存在意義」「自己肯定」に繋がっている。お互いに傍にいたい。お互いじゃないとだめ。お互いに想い合っているのに、傍にいると傷つけあう。それでも離れられない。こういう関係ほんっとうにツボでしんどかったです!またかずえみは互いの存在自体が崇高で非凡なCPだと思うんですよね。互いが高潔で美しい存在。そんな二人が共にいるために選んだことが「普遍的」で「平凡」になることなのが、また尊い感じがして、プレイ後はずっとかずえみは清らかで綺麗、高潔、、尊い、、と、そればかり繰り返していました。ときめきすぎると語彙力極端に下がるので同じ事しか言えないあれ。正直この感想をかくにも一向にまとめれず、思ったこと、感じたことを全部書ける気がしないので悔しいです。支離滅裂なのはいつものことですが、いつも以上に書きたいこと書くので悲惨な感想になりそうですが、頑張って書いていきたいと思います。


八十八騎家は凡人には有り得ない不思議な力を持つ家系として有名です。先の未来を見通す力があり、代々皇家の未来安泰を占う役目を担っています。その中でも一角はひと際強い力を持つ子として、特別視されています。「ユニコーン様」と周囲の生徒には称えられ、憧憬の目を向けられる。彼のが占う未来予想は「ハレルヤ・ポエム」称され、崇高な言葉とし尊ばれる。授業内容も特殊で、彼だけは「風の声をきく」という他の生徒とは違うカリキュラムが用意されています。全てが特異的な彼。そんな彼の非凡さに多くの賛美を贈る周囲。それが八十八騎一角という人物の日常です。しかしそれは裏を返していうと、彼は常に孤独ということなんですよね。憧憬の目を集める彼に、無暗に話しかける人はいません。話しかけてはいけないというルールがあります。特殊カリキュラムと言えば聞こえはいいですが、彼には授業を共にするクラスメートはいないということ。尊崇の念を抱かれる彼は他者との関わりで余計な価値観を覚え、自身の持つ特別な神秘性を損なってはいけません。常に高潔で、何者にも染まらない清らかな存在である必要があります。意思すら持たぬ真っ白で清らかな存在。ともすれば意思のない人形のような存在であれば、彼が持つ不思議な力は失わないとされています。つまり他者が関わることは許されていないのです。
それはなにも学園に限らず、家族にもいえることで。彼は産まれてすぐに母元から引き離され、山奥で祖父と暮らしています。そのため女性を見たことがなく、幼い彼が関われる人間は祖父と数人の使用人だけ。この世に生まれた時点で、孤独に生きることを強いられているんですよね。
そんな彼の前に突然現れた、彼の唯一の理解者たる存在。それが「ユニコーン」です。特別な存在だと孤独を強いられ、言われ続けて育ってきた一角。しかし彼自身、自分の「特別」意味を知りません。そんな中一角にしか見えない"ユニコーン"との出会いをきっかけに、彼は自分自身が"ユニコーン"なのだと知ります。「私はユニコーン」と名乗るのも、これが始まりです。そもそも彼の未来が見えるという不思議な力は、一角曰く「ユニコーン」が教えてくれたものとされています。「ユニコーン」の声は一角だけにしか聞こえず、その声をきくことで未来を占う事が出来るのだとか。しかしユニコーンが教えてくれる未来予想の言葉の意味はわからないそうです。そのため未来を占う「ハレルヤ・ポエム」を書く事は出来るものの、一体どういった未来が起こるのか、言葉の意味は皆で解読しなくてはいけないらしいです。ユニコーンの言葉の意味が全部分からないのは、一角がまだ未熟なユニコーンである故。彼が一人前のユニコーンになるには「清らかなる者」の存在が必要なんだとか。そしてその「清らかなる者」というのがヒロインである笑深ちゃんらしいです。「清らかなる者」とは"運命の乙女"という意味らしく、笑深ちゃんを運命の乙女と認めてからは、一角は彼女に素直に好意を向けていく事になります。真正面から「運命の人」「私の乙女」なんて、甘やかな言葉を向けられて行けば誰だって好きになっちゃうというか。まっすぐな好意にあてられ、段々一角に心を奪われる笑深ちゃん。互いに惹かれあい、傍にいる事が増えていきますが、"傍にいる"というのは"他者と関わり続ける"ということ。他者との関わりを禁じられてきた一角が、段々笑深ちゃんとの交流を進めていくことで、彼の特別な力や心に変化が訪れ、物語を左右していくことに。お互いに惹かれあい想いあっているのに、傍にいることが許されない。互いが悪影響になる。それでも離れたくないという葛藤の末に選ぶ二人の結末はどのEDも面白くって凄くよったですね。
「居場所」「存在価値」「自己」「意思」「人形」「孤独」ここら辺のワードに心惹かれるタイプに人間には、非常に刺さるシナリオでしたね。存在自体が高潔であるがゆえに「恋心」というものが"汚いもの"として描かれ、段々崩れていく様子がたまりませんでした。しかしそれゆえの美しさを感じるというか。かずえみはどこまでいっても綺麗なCPだとおもいましたね。




ここからは個人的に感じた印象の話というか、作中直接的に語られたわけじゃないので考察という名の妄想の話をします。ネタバレ配慮一切なく語るので、お気を付けください。



そもそもユニコーンとは何だったのかって話なんですが、作中ユニコーンは一角の孤独や寂しさを埋めるために産まれた、人格、イマジナリ―フレンドであり、それでいて一角自身の"力"の象徴でもあるんですよね。一角の特別な力というのは、ホワイトリリィEDで神様のものなんじゃないかという話がちらっとだけ語られてます。意思や個を持つことのないように育てられた一角。人形というワードが作中にも出てきますが、なんとなくそれは神様の入れ物を作っているように感じたというか。もしくは一角自身が神の子なる存在というか。一人前のユニコーンになるというのは、一角自身が神になることなのかなぁなんて。そしてブラックリリィEDではそれが覚醒してるのかな、なんて。スキャンダルEDで語られてた、彼の持つ周囲を誘惑し崇拝する様に作用する力。これ一人前になるとその力が制御できるって話でしたが、ブラックリリィEDでは、その能力を使って周囲の人間を洗脳したのかなぁと思っています。彼は「自身の必要性を皇四翼に提示した」としかいってませんが、力の象徴である「ユニコーン」とずっと共にいることを話してますし、力を使っても疲労した様子もないし。神として、人ならざるものとしての覚醒してしまてるのかなぁとか。しかし純白ではなく、黒く汚れた笑深ちゃんだけの王子様ですが。黒く塗られたユニコーンの場合ってそれはサタンのモチーフに近くなるんでしょうかね。ユニコーンについての学がないのでもっとユニコーンについて色々調べたい気持ちになりました。


なんか色々まだ沢山語りたいことあるんですが、言葉が全くまとまらないのでこの辺にしときます。凄く凄く面白いシナリオでした。個人的にとても大好きです。面白かった。


仙僧供夢慈

優男×ビショップ×裏切り
微笑みの中に悪意を潜ませる二重人格教師。穏やかで人当たりの良い先生だが、偶に鋭い発言をする。担当は『食』に関する授業で、腕はプロ級。トレンドにも詳しい。本人曰く若い頃はブイブイ言わせてたらしいが、定かではない。



ゲーム発売前のキャラ紹介の時点で「裏切り」「二重人格」などの不穏なワード発表されていた夢慈先生。胡散臭いのフルコースやないか!と裏切り者が好きなオタクなので、発売前からワクワクしていました。しかし他ルートではそういった二面性や不穏要素は一切見える事はなく、基本的に穏やかで優しい先生で、時におちゃめな面を覗かせたりする先生の様子に、二重人格という設定を忘れ、普通に可愛いなぁとときめいてましたね。ウィンクがとても似合う。「ブイブイ」って言い方が非常に可愛い。
そんな彼の√では来るヴァレフェスに向けて"食"の品評会をすることになります。しかし料理にあまり自信のない笑深ちゃん。そんな彼女に"食"に関する授業を担う先生ということもあり、夢慈先生がサポートとして傍につくようになります。「料理は作り手の想いが大切」最高の料理を振る舞うには、互いに想いあう必要がある。だからこの機会に互いに交流を深め、お互いをもっと好きになろうと提案する夢慈先生。その言葉に素直に頷いた笑深ちゃんは夢慈先生の"好き"を理解しようと、彼の"好き"に寄り添い過ごしていくうちに心惹かれていくようになります。しかし彼は「先生」で自分は「生徒」。決して認めるわけにはいかない想いです。この想いを認めてしまえば、先生に迷惑が掛かる。迷惑を掛けてはいけない。しっかりしなくては。頑張らなくては。そんな葛藤を笑深ちゃんは抱えていくようになります。


そもそも本作ヒロインである笑深ちゃんって、出来過ぎてるくらいに"いい子ちゃん"なんですよね。"いい子ちゃん"でなくては"ならない"と思い込んでいるというか。彼女は幼い頃に両親を亡くして、孤児院で育っています。その孤児院では大人に迷惑をかけないように、"いい子ちゃん"のお手本であるように、常に「しっかりしてるね」と褒められるように、過ごしていたようです。逆にいえばそうしないと自分が「出来ない子」だからと感じてしまうから。「必要ない子」だと。彼女は両親が亡くなり、自分だけは生き残ってしまったことに罪意識があるんですよね。その為常に自身の居場所に不安を抱いている。自分がいてもいいと確証を持てる場所が欲しい。独りは嫌だ。他ルートでも笑深ちゃんのこうした内面の闇はちらちら垣間見えますが、この√ではそこら辺がはっきり描かれた印象でした。


故に「先生」に恋をすることなんて、良くない事だと葛藤するのです。この想いは夢慈先生が「先生」だからであって、大人だから「いい子にしなくちゃ」と思うからであって、決して恋ではない。"好き"ではなく"嫌われたくない"なのがその証拠。そう自分に言い聞かせて色々あれこれ考えるんですが、そんな彼女をかき乱すように思わせぶりな誘惑をしてくる夢慈先生。彼の優しさは好意ゆえなのか、それとも別の意図があるのか。段々不穏さが混ざっていき物語が転がっていく事になります。


思えばこの√では序盤、あれよあれよと夢慈先生のペースに飲まれていた気がしますね。早々に中人は護衛の任を解かれますし、品評会への参加、お渡し会での"当たり"の有無。作中合間にはさまれる夢慈サイドの不穏さも合わさり、意図的に誘導されている感じがして、一体どんな裏があるのかとドキドキしました。結論からいえばめちゃくちゃ楽しかった√でしたね。


個別を経た今の印象でいえば、彼は二重人格というわけではないと思います。確かに二面性があるキャラではありますが、意図的に演じ分けているものであり、二重人格キャラというよりは「裏切り枠」という要素の方が強いキャラでしたね。(むしろ某ユニコーン様の方がよっぽど二重人格枠な気がします)


しかし二面性ゆえか、光系EDと闇系EDでの温度差は非常に激しい√だったように感じますね。基本的に根は凄く優しい人なんだと思います。生い立ちと復讐心が彼を眩ませていただけで。その証拠にホワイトリリィやピュアEDに向かう光系の展開では、彼の悪意というものはあまり感じれず、どちらかというと弱さや守ってあげたくなるような庇護欲、幼さが垣間見えるときがあって、ああ~~可愛い~~愛しい~~って気持ちが強かったですね。チューリップと家族の思い出を話すシーンとか、「うん」って幼く頷くシーンとか好きです。彼は今作で大人枠ですが、幽閉されてた生い立ちを考えると、あの思い出を語るシーンは、彼の中で止まってしまった時間の中に残された、幼心が垣間見えた瞬間のように思えます。そういうシーンの印象が強いので光系の展開に向かった際の夢慈先生ってピュアな人という印象が強いんですよね。またこちらの展開では夢慈先生の過去にあまり触れないというか、ぼやかしているというか。どれほどの憎しみと葛藤、苦しい想いをしてきたかって描写はほとんどされていないんですよね。それ故に初回でホワイトリリィEDを回収した時は、設定が闇寄りなのにあまり闇を感じさせず、むしろ「先生と生徒」「裏切り」「敵同士」などの関係性の交通渋滞を捌くのに大変な√だったなという印象でした。関係性自体は好きなものばかりなのでときめいてましたが、物足りなさを少し感じたのもやぶさかではなく。


しかし対するスキャンダルED、ブラックリリィEDへ向かう展開では、本領発揮と言わんばかりに設定が輝いていましたね!笑深ちゃんからの優しさを振り払うために、遠ざけるために、わざと傷つけ裏切る。笑深ちゃんから嫌われるように立ち回る不器用さ、でも根の優しさが見え隠れする瞬間なんかもう~~!!ときめいてときめいて。闇で光る男、そこら辺も夢慈先生らしくって好きだなと感じます。関係性でいえば闇寄り展開を迎えたときの二人の方が好きなんですよね。偽物の王子様と偽物のお姫様。互いに居場所のない二人が、この世でたった一人だけの"味方"になる。どんなに裏切られようが、ない善よりある偽善を選ぶ笑深ちゃんの姿が素敵で夢えみ最高、、、ってなりました。ED分岐手前にある件が好きすぎて好きすぎて。TAKUYOさんはどうしてこんなにも人間の脆い精神が繋がりあう関係性の描写が上手なんでしょうね。一角√同様夢慈√もひたすら萌え転がっていました。


スキャンダルEDでは皇の"皇たるもの"が垣間見えましたね。恋心とは自己肯定と承認欲求を満たす側面があると思っています。自身の「欲」に忠実な姿というのは、あさましいですが人間らしい愛おしさもあります。けど恋人というのはコミュニケーションでの信頼の先にしかない関係なんですよね。「欲」を満たす彼らでは想いはどこまでいっても交わらない。最高のすれ違い方にたまらなくって叫びました。


またブラックリリィも素晴らしかったですね!政宗√で壊れるときは寂しいから一緒に壊れてほしいと言いましたが、この夢慈√での笑深ちゃんはしっかり壊れてて、お互いが幸せ度数高めでよかったですね~~!スキャンダルにしろ、ブラックリリィにしろ、どちらにしてもたどり着くのが過去の夢慈と同じ。箱庭での未来しかないところが、彼らが"似ている"と感じる要素にもなっててよかったです!自身と同じ闇に引きずり落ちてほしい。一緒に落ちてあげる。そんな二人の関係性。ある種の尊さがありますよね。めちゃくちゃツボで本当に最高最高最高カプでした!楽しかった!!!