(ぬ)乙女ゲーム感想保管庫。

乙女ゲームの感想日記。

遙かなる時空の中で7 個別感想②(兼続/長政/五月/幸村)





直江兼続

博覧強記の才人
飄々として軽妙洒脱な武将。巧みな弁舌で人心を操る手強い男。教養豊かで、日々の生活を優雅に楽しんでいる。八葉の役目は主君に忠誠を誓う自分の立場と相容れないと考え、はじめは様子見の態度をとる。


飄々としており、誰に対しても嫌味や揶揄いを混ぜっ返すような、くえない男。攻略対象の中で最年長になります。博識で教養豊かな知性と、巧みな弁舌で、決して己の腹内は見せず、人心を掌握する。そんな兼続さんのルートは、共通と個別でガラッと関係性が変わるルートでしたね。
序盤の頃の兼続さんといえば、神子を護る八葉であるものの、七緒ちゃんの事は信用せず、揶揄うような、試すような態度をとり、七緒ちゃんのことを自分が仕える主君として認めていません。「神子として認められたいなら、せいぜい頑張って俺を口説いてみせな?」なんて余裕借借と言ってくるような意地悪い男の印象でした。共通ではそんな兼続さんを「口説き落とします!」と意気揚々と頑張る七緒ちゃんの姿がみれます。和歌に嫌味や揶揄いを混ぜたり、難しい問題をあえて七緒ちゃんに投げかけて試したりと意地悪い態度をとる兼続さんに対して、その都度諦めず兼続さんに認めて貰うため口説きます!って前向きな七緒ちゃんは清廉かつ勇ましく可愛かったですね。そして段々口説かれていく兼続さん。徐々に距離が近づいて行き、最後には七緒ちゃんを自分の領である米沢に連れ去りたいと、七緒ちゃんを手放したくないとなるまでに変わったのはときめきましたね。そして共通ラストでまさかのプロポーズ!もう共通からひたすらきゅんきゅんしていたルートだったんですが、個別からは夫婦になってからの物語でさらにじたばた萌え狂いましたね!だって兼続さんほんとズルいんですよ!共通序盤あんなに意地悪で余裕な態度だったのに、結ばれてからの甘やかすような大人の包容力がほんとたまらなくって!敵から攻撃うけたら「大丈夫か?痛かっただろう?」とか辛いことがあったのに無理して笑おうとする七緒ちゃんに「無理して笑おうとするんじゃない、痛々しくて見ている俺が辛い」とか。ほんと七緒ちゃんの痛みや辛さに寄り添って、抱きしめてくれるところが最高に甘くってかっこよくって、もうきゃ~~~!!!ってなりましたね。嫁になってからも「いい子で待ってな」とか、ちょいちょい甘やかすような大人の魅力があってほんと!その上大人の包容力だけでなく、七緒ちゃんを妻に迎えた喜びからはしゃいで周りや友人に自慢しちゃうところとか、負けず嫌いで好奇心旺盛、時折やんちゃで可愛らしい一面が垣間見える瞬間とかほんとやばくてですね!!もう兼続さんいちいちときめかせてくるんで、個別序盤はごろごろのじたばたでしたね!
あとキャラ萌え以外にも、そもそも兼続さんが求めてるものというか、目指している目標がとてもよくってですね。戦乱の世で生きる武将だからこそ、よりその目標への重みを感じるというか。身に染みるというか。誰もが食い扶持に困らない世界。現代で当たり前になっていることに、改めてありがたみを感じるような。兼続さんの未来への想いを聞くたび胸にグッとくるものがあって、ウルっときましたね。まぁそういう部分も含めて兼続さんの全てが凄く凄く好きです。
とってもとっても乙女ゲームしてた個別序盤でしたが、中盤からは実際の戦国時代を現代のものをつかってどう歴史改変していくかみたいな、所謂なろうよ系のチート無双感あってなんか不思議でおもしろかったですねw戦国時代、西軍に属する人物なのでやはり向かう未来は敗北です。それを回避するために現代のものを駆使するあたりなんかずるっこくって、でも逆行物っぽくて面白かったかな。しかしどうあがいても変えられぬ運命。個人的に運命とは自分の手で変えるものという考えより、絶対的に変えられない運命に対しどう生きるかという考えが好きな人間なので、どんなにチートを使おうが最終的に同じ結果にいきつく流れはとても好きでした。それに伴う苦味も。
後半からは戦乱の世の厳しさや辛さを描き切った大河ドラマになりましたね。ここからはとても辛く、苦しいシナリオでした。途中で出る犠牲があまりにも悲しくどうして、、と思わずにはいれない展開ばかり。久々にこの物語で出てくる悪役に純粋に倒さねば!!という想いを持ちましたね。基本的に悪役の立場を色々考えがちな人間なんですが、このルートの悪役にも勿論色々理由があるのはわかるんですが、しかし今回はとにかく許さねえ!倒す!!という気持ちが大きかったです。なんか最後の方の犠牲の悲惨さやその悪意に対して怒りをみせる八葉の想いに熱くなってべちゃべちゃに泣きました。少しでも報われたらいいなと。はあ、、、悲しい。
そんな感じでとにかく何転も話も関係性も変わっていく怒涛の物語で、やりきったあとの感無量癇凄いです。兼続さんと七緒ちゃんは末永く幸せに過ごしてほしい。結婚おめでとう、大好きです。萌えもきゅんも哀しみも燃えも沢山ありがとう!たのしかった!!!!


黒田長政

戦功第一のカリスマロード
威厳と自信に満ちた武将。一国一城の主にふさわしい風格がある。下剋上の世を生き抜いてきたため器量のない者に仕えることを良しとしない。主人公にも覚悟を問い、神子としての力を示すようにもとめてくる。


威厳と自信に満ちたカリスマ性ある俺様。乱世の世に置ける立場や器量を重んじるため、平和な現世で生きてきた七緒ちゃんに対しても乱世で生きる覚悟を常に問うてきます。どんなに七緒ちゃんにとって辛い現実でも向き合えと叱責しするその様は、非常に厳しいですが、厳しいこその優しさを感じます。そんな彼に振り落とされないよう、食らいついていくのがこの長政ルートの醍醐味ですね。とはいえ本当に長政様って厳しいんですよ。過去のトラウマで怯える七緒ちゃんに対しても煽るような恫喝で立ち向かわせるし、「お前には主君たる覚悟がない、そんな奴に命は預けられん」と銃をつきつけたり、本当に生半可な覚悟では彼は七緒ちゃんを見てくれることはありません。七緒ちゃんが神子として、乱世を生きる覚悟を示せば今度は「7つの童女」と称し、女性扱いしてくれない。7歳の女児ではなく女性として見てほしいと向き合い続ければ今度互いの立場を考えろとフラれる。本当に信頼面においても、恋愛面においても非常に厳しく一筋縄ではいかない方なんです。けど問答無用のかっこよさがあるというか。他人にも厳しいですが、自分にもとても厳しい人ですのでその言葉一つ一つにはちゃんと重みがありますし、本当にルート中何回怒られるのかってくらい叱ってくれる人ですが、その厳しさには七緒ちゃんを想っての厳しさというのが分かるのでね。ずるいかっこよさですよね。本当に男前な俺様だったと思います。長政様がいればなんでもうまくいくんじゃと思ってしまうくらいには、着いていきたくなる、全てを背負っていく器量のある人だなと。
このルートは本当長政様がなかなかデレてくれないので、七緒ちゃんの片想い感がつよいというか。両片想いではあるんですけど、長政様は立場とか考えて恋愛に現を抜かさないと区切りをつけれるというか。七緒ちゃんを想っていても決して振り向いてはくれないんですよね。なので、七緒ちゃんばかり長政様を想いやきもきするシーンが多いのですが、それでも時折揶揄うような意地悪な甘やかしというか、七緒ちゃんが自分の事好きなの分かってて振り回すような言動をするのがまたズルいというか。童女と揶揄いながらも女性として時々甘やかされるのがかっこいいんですよね。そんな距離感のなか、戦が始まり、敵同士という立場になるんですから最高に最高に関係性にじたばたするというか。切なさとじれったさがあって別れを惜しむ二人の姿に幸せになれよ!!!って思いもしました。まぁ長政様はほっといても自分で幸せを勝ち取りに行く人なので、ようは七緒ちゃんがどれだけ頑張って長政様を振り向かせるかが肝心のルートになりましたね。このルートって本当に長政様に食らいつく為、七緒ちゃんが勇敢になっていくんです。どこまでも長政様を追いかける頼もしさを培っていきます。しかし勇ましすぎず、どちらかといえばその想いの原動力は恋心で、凄く恋する乙女感が他のルートよりも強い印象でした。「俺は龍神の神子をただの女に引きずり下ろしてしまったのか」というセリフが作中有りますが、まさにそんな感じでしたね。対である兼続ルートでは傍に付き添う妻としてありながら、どこか神秘めいたものを感じる天女だ感じる、どうか天に帰らず地上にいてくれと願う。兼続はどこまでも龍神の神子である七緒を地上にいてほしいと願い、長政は龍神の神子であった七緒をただの女性として地上に下ろしてしまう。まさに対であり正反対の二人だったなと感じ面白かったです。この二人のルートって敗者勝者もふくめ、全部真逆のシナリオになっていたなと。これは長政派か兼続派で白虎は天地で好みはっきり分かれそうだなって思いながらプレイしてました。どちらも魅力的ですが私は兼続派です。しかしそれでも問答無用でときめかしてくる長政様はやはりすごいなと。面白いルートでした!!


天野五月

神社生まれのゴーストバスター
現代での高校3年生で、主人公とは家族として一緒に育った。兄らしく面倒見がよく、星の一族としての能力も高いが、どこか抜けていて頼りない。星の一族であることは、わけあって主人公には隠していた。霊障で大学受験に失敗した為、次の春から浪人生。


人当たりよく、面倒見のいい苦労人気味の優しいお兄さん。七緒ちゃんとは家族として一緒に育ったため、共通中盤までは男女というよりは兄妹としての絆が描かれていましたね。星の一族であり、戦国オタクという事で、戦国の世ではナビゲーター役になりがちというか。分からない事があれば五月が全部教えてくれる物知りかつ、陰陽系特化型チート感ありましたね。頭の回転も速く、戦略を練るのに長けているので、共通の終盤では軍配者として抜擢されるなど、彼とても有能なんです。しかし根っ子は少し頼りない優しいお兄ちゃんって感じなのが五月のいいところですね。癒しでした。
さてそんな五月との恋愛ですが、先ほども述べたようにこの二人は兄妹として育ってきていたので、序盤は男女の関係は全く感じず、妹想いで少々過保護な兄と、兄想いでどこか頼りない兄を引っ張っていってあげる妹という仲陸ましい様子が描かれて行きます。しかし兄妹として育ったといえど、五月は自分で全部抱え込みがちで、わりと秘密主義というか。根っ子は凄いネガティブ思考なんですよ。でも大切な妹である七緒ちゃんだけは守るって決めているから、全部自分で背負い込んで隠し事と嘘を重ねて突っ走りがちです。共通ではそんな彼の脆い部分や危なっかしい部分を知り、一人で抱え込まないで、あなたの隣で一緒に頑張りたい、あなたは私の隣でいてほしいと声を掛け続けていく中で男女として支え合いたいという感情が芽生えていきます。しかし七緒を護りたいと想いが強くなるほど五月は突っ走りがちといいますか。
個別にはいると七緒ちゃんの新事実が発覚していきます。そしてその理由からまた五月は隠し事と嘘を重ねて一人抱え込むようになっていきます。でも根っこは基本ずっと七緒ちゃんを護りたいという意思なんですよね。「どんなに嫌われても恨まれてもいいから」なんて言いながら、恨まれ役を買って七緒を護ろうと一人躍起になる五月の不器用さとかいじらしさは見ていて切なく、個別中盤までああ~~もう~~~五月~~~五月~~~!!!って気分でプレイしてました。いやもうほんと好きですね、こういう不器用な子。そしてそれは五月ルートに出てくるとある人物にも同じ事が言えることで。後半からはその人物と五月の物語になりますが、兼続ルートで色々悲しかったものがやっと五月ルートで報われたという感覚でした。これが見たかったんだ!!ってなりましたね。五月ルートは兼続ルートの後にやると本当に刺さるものが多くって、五月ルートで知った想い、兼続ルートで知った想いを両方兼ね合わせるとたまらなくなりました。五月の嫌われてもいいから一人で抱えて大切なものを護る不器用さは、彼も間違いなく同じで、やはり似ているなとしみじみ。もう兼続ルートでの無念が晴らせただけで、この五月ルートはとっても楽しかったですね。また戦況もたどる道は同じであれど、史実とは違う展開を迎えてどうなるのか分からないところが面白かったです。
あとこのルート、唯一現代でエピローグを迎えるEDでしたね!現代服の五月かっこいい。軍配者として策を弄し、張り詰めた五月も個人的には好きですが、肩の荷が下りた五月は穏やかでおっとりしたカップルになりそうで、仲良く過ごしな~~~~!!!って気持ちになりました。戦乱の世で非常を下す厳しい顔も、優しい世界で穏やかに過ごす顔も、どちらも五月自身であり、彼の魅力だと思います。その寝底はいつだって七緒ちゃんを護りたいという感情ですからね。愛おしい子だったなと!大好きになりました!


真田幸村

義にあつく情にもろい、永遠のヒーロー
強きをくじき弱きを助ける、心優しい青年武将。家族や友人との絆を大切にしており、戦乱の中でも家族との穏やかな暮らしを心ではいつも願っている。温和な性格だが、戦場では果断で勇猛果敢。子供の頃は人質として各地を転々としていた。


誠実で礼儀正しく、非常に実直な性格の持ち主。現代で怨霊に襲われていた七緒と最初に出会った武将。その時に怖れよりも幸村自身を護ろうと立ち向かう七緒の姿に、そしてその後も龍神の神子として過酷な使命を逃げずにまっすぐ向き合う姿勢に対し純粋に尊敬し、八葉として支え護ろうと仕えてくれるます。なので幸村との恋愛面はそういう尊敬や信頼から段々変化していくものなので、凄く自然な形でお互い惹かれあっていくようになります。
幸村は幼い頃より人質として各地を転々としており、家族のもとで育っていません。戦国の世の習い、人質生活というのは珍しくないのですが、やはり家族のもとで過ごせない哀しみやもどかしさはあります。それゆえ、人質生活が終わった今、例えそれが戦乱の世であろうと家族と共に過ごせる日々を大切に想い、穏やかに過ごせることを心から願っています。またそれとは別で、幸村は人質生活を送ったことで出来た友の事も家族と同じくらい大切に想っています。その友というのが、同じ八葉である直江兼続、そしてのちの関ケ原で西軍大将となる石田三成です。共通や兼続ルートでも描かれてますが、この三人の友情というのが凄く熱く、そして悲しいものでして。戦乱の世、いつお互いがどうなってもおかしくない時代を生きながら、互いに強く信頼しあう友情が本当に熱くて、この西軍の3人は本当に出てくるたびグッときて泣いてしまいます。大好きです。そんな家族と友を何より大切に想い、義にあつく、義を貫く物語が幸村ルートでした。戦国の世の中で、幸村のようなただひたすらにまっすぐな姿勢というのは、危うくもあり、眩しくもあります。戦国時代、想いだけでは通らないものが沢山あります。それは立場だったり、地位だったり。誰もが自分が護りたいものの為に、己の正義を持って戦にむかいます。その中で、友との約束、家族との絆を重んじ続けるというのはどれだけ難しく、しかしそれがどれだけ周りの救いになるのか。友や家族であっても戦場に相争う関係になります。平和や穏やかな日々を心で願いながら、武器を手に人の命を奪わなければいけません。墓地や寺、死を尊ぶ場所ですら戦場になり、死者を恥辱される。幸村が友や家族との義を貫くという事にはこうした苦しさや悲しみが常に隣り合わせである。しかしそれでも義を貫くことで救われる想いもある。そうした陰陽どちらも描きながら、葛藤と挫折を重ねても折れない心と一生を描き切ったのが幸村ルートでした。本当に悲しい事が多かったです。辛い展開ばかり。それでも折れない心の有りようが勇ましく、なによりかっこよかったです。
そしてそんな幸村に寄り添い、その想いを支える形で傍に寄り添う七緒ちゃん。義にあついのは実は七緒ちゃん自身もそうなんですよね。友との約束や家族との絆の義を通す幸村と同じように、七緒ちゃんにも龍神の神子としての使命を遂げる役目があります。共通でも他ルートでもそれは何度も描かれてますが、七緒ちゃん自身も龍神の神子として乱世を鎮め、人々の平和な日々を取り戻すという使命の為なら自身を犠牲にしてでも、貫く想いがあります。プレイしていてその自己犠牲もいとわない勇敢さには、驚くものばかりだったんですが、七緒ちゃんの事実を知れば納得というか。それゆえの危なさや、救いがある。幸村の義に七緒が寄り添うように、七緒の義に幸村も寄り添う形でこの二人は強く結ばれているんだなと凄く感じました。
それゆえのエンディングの迎え方なんですが。正直これはおそらく賛否両論ありそうな終わり方です。しかし作中五月も「俺には理解できないけど」といっていた通り、己の義を通した二人だからこそ迎えたEDだったんだろうなと感じます。本当に最後の方はずっと泣いてました。一人の武将の生き様を描き切る熱量が凄かったです。また音楽が泣かせに来てて!!今もBGM流しながら感想書いてますが本当にいい。戦乱の世の悲しみも重みも熱さも背負ったいい曲だなぁと。
感じたものが沢山あり過ぎて言葉がまとめれませんが、とにかく幸村ルートは戦国の世をただ直向きに生き抜いた一人の武将と、乱世を鎮める使命を持った神の少女の、大義を果たす物語でした。本当に熱く、重厚なシナリオです。プレイ出来てよかった。凄く凄く楽しかったです。